崖っぷちの大ベテラン・中島宏之がスタメン出場を続ける
巨人加入2年目の中島宏之が連覇を狙う打線の一員として、開幕から存在感を放っている。
打撃フォームをコンパクトに改良して臨む今季は、オープン戦で打率.351、チームトップの4本塁打と結果を残すと、一塁手として開幕スタメン入り。6月はチームの10試合中9試合でスタメン出場を果たした。6月終了時点の打率は.258ながら、出塁率はスタメンクラスでは岡本和真(.523)に次ぐ.378をマーク。6月30日のDeNA戦では待望の今季第1号も飛び出した。
かつて西武時代には不動の遊撃手として4度のベストナインに輝き、09年の第2回WBCでは現指揮官の原辰徳監督の下で世界一にも貢献した中島。輝かしい実績を持つが、巨人へ加入した昨季はわずか43試合の出場で、打率.148・1本塁打の成績に終わる苦難の一年になった。
オフの契約更改では、1億5000万円から2000万円まで87%の年俸ダウンを飲み、崖っぷちの立場で迎えたプロ20年目の今季。昨季の状況からすれば劇的に出場機会を増やし、順調なスタートを切ったといえるだろう。
チーム課題の「5番打者」に収まるか
巨人打線の「コア」は今季も変わらない。4番に岡本を据え、その前を坂本勇人と丸佳浩で固める2・3・4番の並びが中心。昨季はこの3人で多くの得点を稼いだが、一方でなかなか固定できず、課題となっていたのが「5番打者」だ。
原監督もチーム状況から5番打者の重要性については開幕前から度々口にしている。5番に固定できる選手が出てくるかどうかは、巨人打線の得点力を左右するポイントになりそうだ。打率.475・5本塁打(6月成績)と4番を打つ岡本が絶好調なだけに、主砲との勝負を避けられないようにするという意味でも、5番が担う役割は大きい。
その候補のひとりとなるのが中島だ。新外国人のパーラや陽岱鋼、亀井善行、大城卓三といった候補もいる中で、6月は4試合で5番打者としてスタメン出場。20日から23日の3試合は結果を残せなかったが、30日のDeNA戦では前述のように本塁打を放ってアピールに成功した。
継続的に5番を任されることになれば、前の3人が強力な分、チャンスでの打席が多くなると予想される。そこで豊富な経験を生かし、勝負強さを発揮できればチーム内で貴重な存在になってくる。このチャンスを活かし、5番打者として打線を引っ張っていくことができるだろうか。
巨人は29日に楽天からウィーラーをトレードで補強し、右打者の層を強化させた。中島としては中軸を打てるくらいの打力を見せられないと、スタメンの立場も危うくなってくるだろう。崖っぷちから復活に懸ける大ベテランの真価が問われる。
《関連記事》
・巨人・坂本勇人、350二塁打の他にも記録ラッシュの期待 各種通算成績はどこまで伸びる?
・西武・栗山巧に期待される“巧”打者の証ともいえる3つの記録
・巨人・亀井善行が年長1000安打&100本塁打へ、細く長く「亀の歩み」