マエケン以来のエースナンバー背負い早くもプロ初勝利
広島・森下暢仁が6月28日の中日戦で8.2回3失点で初勝利を挙げた。8回まで無失点の好投で、期待された完封は果たせなかったものの、プロ2試合目の新人としては文句のない136球の力投。開幕3戦目のDeNA戦でも7回無失点と好投しており、ドラフト1位の実力は本物と見てよさそうだ。
甘いルックスの次期エース候補に球団の期待も大きく、早速、初勝利を記念したTシャツを発売。早くも営業面でも貢献している。
森下は大分商から明治大に進学。東京六大学で通算13勝をマークし、広島では佐々岡真司監督が現役時代に背負い、前田健太がメジャー移籍してから空き番となっていた「18」を背負っている。
藤本英雄、杉下茂、星野仙一、川上憲伸ら偉大なる先達
これまで明治大出身のプロ野球選手は数多いが、その中でプロで実績を挙げた本格派右腕を振り返ってみたい。
藤本英雄は旧制下関商時代に甲子園出場、明治大時代に通算34勝を挙げ、1942年に巨人に入団した。2年目に34勝11敗(19完封)、253奪三振、防御率0.73でタイトルを総なめ。1944年には25歳にして選手兼任監督に就任し、1950年には史上初の完全試合を達成するなど、戦中戦後のプロ野球界で一時代を築いた。通算200勝(87敗)をマークし、通算防御率1.90は2000投球回以上の投手で現在も最高記録となっている。
フォークボールを駆使して「フォークの神様」と呼ばれた杉下茂は、明治大学旧制専門部から1949年に中日に入団。1951年に28勝、1954年に32勝で最多勝に輝くなど、プロ通算215勝を挙げた。選手兼任も含め、中日、大毎、阪神、巨人、西武で監督、コーチを歴任している。
星野仙一は倉敷商から明治大に進学し、大学通算23勝をマーク。1968年ドラフト1位で中日に入団すると、闘志あふれる投球で1973年から5年連続2桁勝利を挙げるなど、通算146勝34セーブの成績を残した。引退後は監督としても中日、阪神、楽天を優勝に導き、北京五輪では日本代表の指揮を執った。
徳島商で夏の甲子園ベスト8に進出し、明治大で通算28勝を挙げた川上憲伸は、1997年ドラフト1位で中日に入団。1年目に14勝を挙げて新人王に輝くと、2002年にはノーヒットノーランを達成、2004年と2006年には17勝で最多勝のタイトルを獲得した。
2008年オフにFA宣言してMLBのブレーブスに移籍。メジャーでは50試合に登板して8勝を挙げ、日米通算125勝をマークした。
現役では野村祐輔、柳裕也、星知弥ら
2020年の現役プロ野球選手を大学別に見ると、明治大出身選手が最多の22人を数える。その中で本格派右腕の筆頭格と言えば、森下と同じ広島の野村祐輔だろう。
広陵高のエースとして夏の甲子園で準優勝し、明治大では東京六大学史上7人目の30勝300奪三振を達成。プロ入り後も2016年に16勝で最多勝に輝くなど、これまで通算71勝を挙げている。
他にも中日・柳裕也やヤクルト・星知弥らも系譜を受け継ぐ本格派右腕だ。森下も含め、彼らは明治の偉大な先達に続いて実績を残せるか。
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