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日本野球へのアジャストとチーム愛 ロッテ・マーティンに期待できる理由

2020 6/9 11:00浜田哲男
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右翼のレギュラー候補筆頭

昨季はシーズン途中の7月26日から加入したロッテのレオネス・マーティン。同日にスタメン出場したのを皮切りに52試合に出場すると、打率.232、14本塁打、39打点、出塁率.342をマークした。

出場試合数が全体の約1/3ということを考えれば、及第点の活躍。下位に低迷していたチームを、最後までAクラス争いを演じるまでに押し上げた功労者の一人と言えるだろう。

福田秀平(元ソフトバンク)が加入するなど外野手争いは激化しているが、右翼のレギュラー候補筆頭であることは確か。オープン戦9試合に出場し、打率.286、1本塁打、4打点、出塁率.348をマーク。5月30日にZOZOマリンで行われた紅白戦では、エドワード・サントスの直球をとらえてバックスクリーンへと運ぶ豪快なアーチを放った。

6月3日に行われた日本ハムとの練習試合では、井口和朋から右中間を鋭く破る適時二塁打、4日には斎藤佑樹の外角低めのフォークを上手くさばき、センター前に落とす技ありの適時打を放つなど、ここまでは順調な調整ぶりを見せている。

日本野球にアジャストしようとする姿勢

昨季のゾーン別データを見ると、得意なコース、不得意なコースがはっきりとしている。例えば、内角高めは打率.429と得意にしているが、真ん中高めは.133、外角高めは.235と低く、高めを一様に得意としているわけではない。

特に外角高めは他のコースと比較しても多い11個の三振を喫している。その一方、外角中程は.306と得意としており、コース別で最多となる6本塁打をマークしている。

昨季は各チームとの対戦が増えるにつれ、制球力に優れ、苦手なコースを徹底して突いてくる日本のバッテリーの攻めに戸惑っている感があった。配球のパターンもメジャーとは違う部分が多く、日本では3ボール0ストライクで変化球を投げる場合があるが、メジャーではまず見られない。

マーティンにとっては想定外のカウントで変化球が来て打ち取られたり、追い込まれた後に高めの直球を連投されて結局振らされるなど、52試合で57個と三振数が多いことが課題だった。

しかし、今季に入って既に課題の改善傾向が見られる。例えば6月6日に行われた楽天との練習試合の第4打席、フォークを武器とする寺岡寛治との対戦はそのケースだった。

初球の変化球を見逃してストライク。2球目がファウルとなり早々に追い込まれたものの、以降は際どい球を見極めつつ、低めのフォークや高めの直球をカットするなど粘りを見せ(ファウル4本)、最後は高めの変化球を冷静に見逃して四球を選んだ。計10球を投げさせたことにも意味があるし、次の打者につなぐ意識の高さも垣間見えた。

7日の楽天戦でも第2打席で四球を選ぶと、アラン・ブセニッツとの対戦となった第3打席でも四球を選んだ。ストライクゾーン高めから鋭く落ちる、思わず手が出るような落差のあるカーブだったが、この場面でも冷静に見極めていた。球がよく見えている証拠だろう。

来日間もない頃、「(バッテリーの攻め方が)メジャーリーグとは違うなという部分もありますけど、少しずつ日本の野球に慣れていきたいと思っています」と話していたが、日本野球にアジャストしていこうとする熱心な姿勢が形となって表れてきている。

求められるのは長打力と出塁率。中軸での起用が有力視されるマーティンが活躍できるかどうかは、チームの勝敗に大きく関わる。

悔しさで流した涙を糧に

元々愛嬌があり親しみやすいプレーヤーだが、今季はキャンプ中でも練習試合中でも笑顔が目立つ。「チームもファンも僕のことを気持ちよく受け入れてくれた。とても感謝しています」と昨季話していたこともあるが、今季はよりいっそうチームに溶け込んでいる様子がうかがえる。

昨季9月24日の西武戦では目の前で優勝を決められ、マーティンは空振り三振で最後の打者となった。よほど悔しかったのだろう。ベンチで茫然として動けず、目に涙を浮かべていたシーンには多くのファンが心を打たれた。あの時の悔しさを糧に、このチームメイトたちと今季こそ優勝したいという気持ちは強いはずだ。

「人生で一番素晴らしい声援をいただいていると思っています」と、ライトスタンドから響き渡る応援歌にも感激していたマーティン。残留が決まった際にも球団広報を通じ、「私は皆さんがスタンドから歌ってくれる応援歌を支えにして頑張ります」と意気込みを表していた。

今季は新型コロナウイルスの影響により開幕は6月19日にずれ込んだ。状況によっては段階的に観客を入れた開催も想定されているが、無観客試合でのスタートとなる。

目の前にファンはいない。しかし、打席に立つマーティンの心には、ファンが歌う応援歌が響き渡るはずだ。

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