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ゴールデングラブ受賞回数を比較 意外にも?山田哲人は「0」回、チーム最多は巨人の122回

2020 4/23 10:00勝田聡
東京ヤクルトスワローズの山田哲人ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

最多受賞は「世界の福本」の12回

近年、プロ野球において守備を重要視する機会が増えた。たとえば捕手では、(圧倒的な打撃力があれば別だが)打撃よりも守備を重視されることが多くなり、打率は投手よりも少し良い程度ということも決して珍しくない。

また、選手個人でも打つだけではなく、守れることも重視しているケースは多い。山田哲人(ヤクルト)は「守備でもチームに貢献したい」とコメントし同賞の受賞を熱望。球界屈指のリードオフマンである西川遥輝(日本ハム)も「高い意識で守備に取り組んでいきたい」と3年連続でゴールデングラブ賞を受賞していながら、守備面での貢献を誓っている。打って走れる両選手ではあるが、守ることに関する意識も高いのだ。

そんな守備面での評価を表すひとつの目安としてゴールデングラブ賞がある。いわゆる「守備のベストナイン」だ。記者投票によって選出されるため、細かい守備指標ではなく印象で決まってしまう部分がないとはいえないが、選手にとって名誉のひとつであることは間違いない。そのゴールデングラブ賞受賞が選手たちにとっての大きな目標となる。

坂本勇人(巨人)も昨年の受賞後に「ひとつの目標としていた賞なので嬉しいです」とコメントしている。昨年は打率3割、40本塁打と、仮に守備が随一ではなかったとしても、その働きに文句をつけるものはいないだろう。それだけの選手であっても、ゴールデングラブ賞に対しての思い入れがあるのだ。

1972年から制定された同賞(当時はダイヤモンドグラブ賞)だが、最も受賞回数が多いのは福本豊(阪急/外野手)の12回となっている。「世界の盗塁王」とも称され、通算1065盗塁はNPB歴代1位を誇る福本は守備でも結果を残していた。

福本に続くのが伊東勤(西武/捕手)と秋山幸二(ダイエーほか/外野手)の11回。伊東と同じく守備の負担が大きい捕手では、古田敦也(ヤクルト)も10回獲得している。ちなみに、現役捕手では甲斐拓也(ソフトバンク)の3回が最多。記録の更新は簡単ではない。

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ヤクルトの二塁は田中浩康の1度だけ

セ・リーグのポジション別ゴールデングラブ賞受賞回数ⒸSPAIA


チームごとではどのような偏りがあるのだろうか。セ・リーグの6球団の各受賞回数を見ると、巨人が述べ122回の受賞と圧倒的な大差をつけている。2位の広島が80回となっており、およそ1.5倍である。特に群を抜いているのは、投手の受賞回数33回だ。

歴代の受賞者を振り返ってみると、1972年の第1回に巨人のエース堀内恒夫が受賞。その後7年連続で堀内が受賞し、1979年からは同じく巨人の西本聖が再び7年連続で表彰されている。

巨人以外の投手が初めて同賞を受賞したのは、1986年の北別府学(広島)だった。それ以降も桑田真澄や斎藤雅樹、上原浩治ら巨人の投手がほぼ独占。その後は他球団からも受賞者は生まれていたものの、2016年から3年連続で菅野智之が選出された。「巨人の投手は守備もうまい」は伝統になっていると言ってもいいのではないだろうか。

一方でDeNA(前身球団含む)は投手の受賞者がひとりもいない。昨シーズンは今永昇太が29票を集めリーグ5位の得票数となったが、チーム史上初の投手におけるゴールデングラブ獲得となるだろうか。

その他のポジションでは広島の外野手の43回が目立つ。古くは山本浩二がセ・リーグ最多となる10回、その後も山崎隆造(4回)、長嶋清幸(4回)、緒方孝市(5回)、丸佳浩(6回)など、多くの選手が受賞している。

また、ヤクルトの二塁は一度だけの受賞だが、これは山田ではなく田中浩康(現DeNAコーチ)が2012年に受賞したもの。2013年からは7年連続で菊池涼介(広島)が受賞中。山田は菊池を超えることが絶対条件となる。

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郭泰源はパ・リーグ唯一の外国人投手による受賞者

パ・リーグのポジション別ゴールデングラブ賞受賞回数ⒸSPAIA


パ・リーグでは巨人ほどの圧倒的な大差はついていない。そのなかで目立つのはオリックス(前身球団含む)の外野だろうか。福本が歴代最多となる12回の受賞を誇っているだけでなく、簑田浩二(8回)、イチロー(7回)、田口壮(5回)と名手を多く輩出してきた。

投手では西武の22回がオリックスの11回にダブルスコアをつけトップとなっている。受賞者の名前を見ると、東尾修(5回)、渡辺久信(1回)、郭泰源(2回)、工藤公康(1回)、西口文也(3回)、松坂大輔(7回)、涌井秀章(2回)、菊池雄星(1回)と各年代のエース格がそれぞれ受賞していることがわかる。また、郭は外国人投手としてはパ・リーグ唯一の受賞者だ。

楽天は球団の創設から日が浅いとうこともあり、三塁、遊撃、外野の3ポジションでいまだに受賞者は出ていない。昨シーズンは外野で島内宏明が66票、辰己涼介が53票を獲得しそれぞれ5位と6位だった。辰己はルーキーイヤーでもあり、今後、出場試合数が増えアピール機会が増えれば、受賞する機会も訪れそうだ。

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