「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

秋山翔吾が加入のレッズも優勝争いに参戦【ナ・リーグ中地区の順位予想】

2020 3/9 11:00棗和貴
今季は優勝も狙えるレッズに加入した秋山翔吾Ⓒゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

今季はレッズも優勝争いに参戦

昨季、地区優勝の行方が最後までわからなかったナ・リーグ中地区。シーズン最終盤になってブルワーズが驚異的な追い上げを見せたため、カージナルスが地区優勝を決めたのは、シーズン最終戦の9月29日だった。

熾烈な優勝争いは、どうやら今年も勃発しそうである。今季に関しては、カージナルス、ブルワーズ、カブスという近年の強豪チームに加え、秋山翔吾が加入したレッズもその争いに加わりそうだ。そんなナ・リーグ中地区について、各チームの戦力分析とともに今季の順位予想を行っていく。

【予想1位:カージナルス】アンチ・フライボール革命でも勝てる?

カージナルスを1位に予想するのはとても勇気がいる。打撃を重視した現代野球の流れに反したチームづくりに取り組んでいるからだ。昨季、地区優勝を果たしたカージナルスだが、チーム本塁打数は30球団中24位。そして、今季はただでさえ“貧打”の打線から昨季チーム3位の29本塁打を放ったマルセル・オズーナがいなくなる。

それでもカージナルスを1位にした理由は、やはり投手力である。昨季後半戦に防御率0.91という驚異的な数字を残し、サイ・ヤング賞投票で3位につけたジャック・フラハーティを筆頭に、先発・リリーフともに粒ぞろいだ。

また、打力に関しても明るい材料がある。トミー・エドマンだ。エドマンは昨年6月にメジャーデビューを果たしたユーティリティーで、本塁打は少ないが、スピード感があるカージナルスの今を象徴するような選手だ。彼のWAR(勝利貢献度)は、オズーナよりも高い。“アンチ・フライボール革命”のカージナルスがどこまで躍進するか楽しみである。

【予想2位:レッズ】2015年のパドレスにならないために

今オフ、最も積極的に補強を行ったのがレッズだった。この最古の球団において初めての日本人選手である秋山翔吾をはじめ、マイク・ムスタカスやニック・カステヤノス、ウェイド・マイリーらを次々と獲得した。

積極的な補強で思い出すのが、2015年のパドレスだ。オフシーズンにマット・ケンプやクレイグ・キンブレル、メルビン・アプトンJr.ら大物を獲得。しかし終わってみれば74勝88敗と前年よりも勝ち星を減らすことになった。

今季のレッズが2015年のパドレスと異なるのは、戦力の中心が新たにチームに加わった選手だけではないという点である。当時のパドレスはいかにも急造チームで、キンブレルとアプトンJr.を獲得したのはシーズン開幕の前日だった。

一方、レッズにはチームの顔であるジョーイ・ボットや、エースにまで成長したホセ・カスティーヨ、チームのプロスペクトであるニック・センゼルらが在籍する。球団のカルチャーを知る選手がチームを一つにまとめることができれば、激戦が予想されるこの地区の有力な優勝候補となるだろう。

【予想3位:カブス】戦力は十分だが、崩壊へ向かう場合も

昨季、5年ぶりにポストシーズン進出を逃し、黄金期を築いたジョー・マドンが監督を退任したカブス。このまま低迷してしまうようにも思えるが、ラインナップを見てみるとそんな不安は消えてしまう。

ハビエル・バエズ、クリス・ブライアント、アンソニー・リゾなど、2016年に世界一になったメンバーが今も健在である。投手陣に関しては、全盛期とまでは言えないが、昨季の後半戦で防御率2.76と好投したダルビッシュ有がシーズンを通して活躍すれば、優勝も十分狙える。

ただ、カブスの崩壊は遠い未来ではない。むしろ、今季中にそれが起こってもおかしくないのだ。

今オフのカブスは、贅沢税を避けるためにブライアントを放出するという噂が絶えなかった。結局、ブライアントはカブスで開幕戦を迎えることができそうだが、もしチームがスタートダッシュに失敗すれば、7月31日のトレード期限までに彼が放出される可能性は高い。

優勝戦線から外れ主力を放出となれば、チームは再建へと向かうだろう。

【予想4位:ブルワーズ】あの日系アメリカンがブレークすれば…

4位と予想したものの、ブルワーズの戦力は他のチームに引けを取らない。クリスチャン・イェリッチがシーズンを通じて健康であれば、MVP級の活躍をするのは間違いなさそうだ。また、昨年のワイルドカードでナショナルズを相手に好投したブランドン・ウッドラフも楽しみな選手である。

不安要素をあげるとすれば、正捕手だったヤズマニ・グランダルと、昨季35本塁打を放ったマイク・ムスタカスが抜けたこと。ブルワーズはその穴を埋めるために、捕手のオマー・ナルバエスとユーティリティーのエリック・ソガードを獲得したが、力不足の感は否めない。

そこで期待したいのがケストン・ヒウラである。ヒウラは昨年デビューした日系アメリカ人で、昨季は打率.303/出塁率.368/長打率.570と好成績を収めた。思えばイェリッチも祖父が日本人である。日本をバックボーンに持つ2人が活躍すれば、地区優勝の可能性も自ずと高まるだろう。

【予想5位:パイレーツ】投手力が整っていれば…

パイレーツの大きな欠点は投手力である。かつてのサイ・ヤング賞候補であるクリス・アーチャーはパイレーツに来てからパッとしない。2018年に14勝10敗、防御率3.20という好成績を収めたジェイムソン・タイヨンは、自身2度目のトミー・ジョン手術のため今季中の登板は難しそうだ。パイレーツは打力のポテンシャルが高いだけに、もったいないように思える。

いっそのこと、投手力が整うまでの間、打撃陣の個人タイトル争いを楽しむのも一つの手だ。なかでもブライアン・レイノルズの首位打者とジョシュ・ベルの本塁打王は十分狙えるだろう。レイノルズは昨季、打率.314をマークし新人王3位に入った好打者で、ベルはダルビッシュが自身のYouTubeで「ヤバイ打者」に挙げるほどの怪力の持ち主である。

※日付は現地時間