オープン戦10試合で打率.217、1本塁打、3打点
DeNAからポスティングシステムを利用し米大リーグに挑戦中の筒香嘉智外野手(28)が、着々と経験を積んでいる。3月9日(日本時間10日)のブルージェイズ戦では初めての1番打者(三塁)としてスタメン出場。3打数無安打に終わったが、メジャーの投手に早く慣れさせようというチームの意図もある中で、経験を蓄積させた。
筒香はここまでオープン戦10試合を戦い終えた時点で23打数5安打、打率.217、1本塁打、3打点。打順は1、2、3、5番を経験している。外野に加えて三塁の守備も無難にこなしており、メジャーでの試合出場に関し着実に選択肢を広げている。
中村紀洋氏「割り切りが必要」
そんな中、ベイスターズの元同僚であり、大リーガーの先輩でもある中村紀洋氏(46)が客観的目線で筒香に助言。今後、控えているMLBシーズン本番で成功する道筋について言及している。
最も重要になることは、何を期待されレイズに加入したのか。中村氏は「何というか、いい意味での割り切りというものが必要になってくる。果たして、自分が球団から何を期待されているか。それを理解することが大事なんです。筒香の場合はパワーを期待されているわけだから、中途半端に率を求めたりせず長打を狙う覚悟で臨んでほしいですね」と、一芸突破型でのメジャー挑戦を勧めた。
筒香には、中村氏の声が伝わったかのように、2月24日(日本時間25日)のオープン戦2戦目、レッドソックス戦で早くも初本塁打を記録。同27日(同28日)のタイガース戦では2本の適時打を放ち、初のマルチ安打を記録するなど頭角を現している。
松井秀喜1年目の16本塁打が基準
メジャーで日本人のパワーヒッターがシーズン30本塁打以上を記録したのは、2004年の松井秀喜氏ただ一人。その1年目となった2003年は16本塁打だった。この数字を物足りないと感じる野球ファンも当時は多かったが、超一流のメジャー投手を初対戦で打ち崩すのは至難の業。今ではメジャー関係者の間で、日本人のパワーヒッターを図る基準になっているという。
2005年にドジャースでプレーした中村氏とてメジャーの厳しさは重々承知している。そのあたりを踏まえた上で「筒香は松井秀喜の1年目の本塁打数、そこを超えていかないと『期待ハズレだった』という評価をされてしまう。自分のセールスポイントを長打力とするなら、率も追いかけて中途半端にならないように、思い切り振ってほしいですね」と割り切った打撃に期待を込めた。
協調性や道徳心も高評価
レイズは筒香の姿に往年の松井秀喜氏を重ねているという。事前の調査で筒香の持つ「協調性、道徳心」を確認しており、和の心がチームに及ぼす影響にも期待している。入団会見で英語、スペイン語を勉強して臨んできた姿勢も高評価だった。2012年シーズン中、現役晩年だった松井氏を獲得したのも、野球の実力と人格を評価してのものだった。
岩村明憲、松井秀喜と日本人野手を複数抱えた経験のあるレイズにあって、筒香に期待される要素はプレーだけに止まらない。「和を以って貴しとなす」日本の精神と、期待に応える「割り切った打撃」。注目を集める中でどういった結果を残すのか。今後の筒香の活躍に注目だ。