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NPBとは事情が異なるMLBにおける大型トレード

2017 6/28 09:44cut
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MLBのトレード事情

MLBでは日本プロ野球に比べてトレードが頻繁に起き大物選手でも移籍は多く行われる。それは優勝を狙う時期、チームを再建する時期をはっきりと球団が定めているのが一つの理由だ。優勝をあきらめ戦力を整える時期になると高額年俸の主力選手を放出し、数年後の主力選手になるであろう若手選手を獲得するのだ。
特に、再建期のチームでFA前年との選手は放出されるケースが多くなっている。それはFAでチームを去られるよりもトレードで若手選手などを獲得することにメリットを感じているからだ。
MLBの移籍期限である7月31日に近づくにつれ多くの情報が飛び交いリポーター達は動きがあるとツイートで情報を発信する。これは日本でも増えてきてはいるがMLBではトレードなどのチーム情報はツイートが最新になることが多く記者、ジャーナリストは自分の個人アカウントで情報をつぶやくのだ。
MLBのトレードはスケールが大きいものが多く、三角トレードと呼ばれるような複数球団が絡むトレードであったり総勢10人以上がチームを移動することも珍しくない。
こういった大きな動きが頻繁に起こるのもMLBの楽しみの一つと言えそうだ。

ヨエニス・セスペデス選手が新人王へ!?

キューバから亡命しメジャーリーグの世界へと入ったヨエニス・セスペデス選手。オークランド・アスレチックス、ボストン・レッドソックス、デトロイト・タイガース、ニューヨーク・メッツへと渡り歩いている。その移籍の中でも大型トレードだったのがレッドソックスからタイガースへのトレードだろう。

【トレード内容】

レッドソックス→タイガース
・ヨエニス・セスペデス選手
・アレックス・ウィルソン選手
・ゲーブ・スパイアー選手

タイガース→レッドソックス
・リック・ポーセロ選手

このトレードではヨエニス・セスペデス選手という大砲とリック・ポーセロ選手というエース格の投手のトレードという形になった。ヨエニス・セスペデス選手はタイガースで一定の活躍を見せ、またオフにトレードでニューヨーク・メッツへと放出された。
その交換相手としてタイガースにやってきたのが2016年シーズンアメリカンリーグの新人王に輝いたマイケル・フルマー選手だ。タイガースはリック・ポーセロ選手の放出で新人王を獲得した形となった。
また、レッドソックスへやってきたリック・ポーセロ選手は2016年シーズンに22勝を挙げサイヤング賞を獲得し両チームとも成功したと言えるトレードになった。

【トレード内容】
タイガース→メッツ
・ヨエニス・セスペデス選手

メッツ→タイガース
・マイケル・フルマー選手
・ルイス・ケサ選手

開幕24時間前にトレード!?

2015年4月のMLB開幕当日に衝撃的なトレードが飛び込んできた。アトランタ・ブレーブスの守護神でありチームの顔でもあったクレイグ・キンブレル選手がトレードでサンディエゴ・パドレスへと移籍したのだ。MLBでは主力選手のトレードは珍しくないが、開幕当日にトレードされるというのは驚きで全米でも話題となった。

【トレード内容】
ブレーブス→パドレス
・クレイグ・キンブレル選手
・メルビン・アップトン・ジュニア選手

パドレス→ブレーブス
・マット・ウィスラー選手
・カルロス・クエンティン選手
・キャメロン・メイビン選手
・ジョーダン・バロウベック選手
・ドラフト1巡目・全体41位指名権

クレイグ・キンブレル選手と同じくブレーブスからパドレスへと移籍したメルビン・アップトン・ジュニア選手は弟のジャスティン・アップトン選手と再び同じチームとなった。また、パドレスからブレーブスにはドラフト指名権の譲渡も行われている。
メジャーリーグを始めとしたアメリカのスポーツでは、ドラフト指名権の譲渡もトレードで行われることがあるのだ。

5人対7人の超大型トレード!

2012年シーズンオフにマイアミ・マーリンズとトロント・ブルージェイズの間で5人対7人という超大型トレードが敢行された。
その中には主力選手も含まれており12年連続二桁勝利、200投球回を達成していたマーク・バーリー選手、首位打者獲得経験もあるホセ・レイエス選手らがマーリンズからブルージェイズへと移籍している。マーリンズからブルージェイズへ移籍した選手は高額年俸選手が多くチームの主力でもあったためにファンからは非難も浴びていた。
しかし、トレードで獲得した選手達が2017年にレギュラークラスとして活躍しており、正解か不正解かは判断が分かれるところだろう。このトレードはトレードの善し悪しは数年後に結果が出ると言える例でもある。

【トレード内容】
ブルージェイズ→マーリンズ
・ユネル・エスコバー選手
・アデイニー・エチェバリア選手
・ヘンダーソン・アルバレス選手
・ジェフ・マシス選手
・ジェイク・マリスニック選手
・ジャスティン・ニコリーノ選手
・アンソニー・デスクラファニー選手

マーリンズ→ブルージェイズ
・ジョシュ・ジョンソン選手
・マーク・バーリー選手
・ホセ・レイエス選手
・ジョン・バック選手
・エミリオ・ボニファシオ選手

リーグを代表する左腕とトッププロスペクトの大型トレード!

2016年シーズンオフに敢行されたトレードで最も注目を集めたのがシカゴ・ホワイトソックスのエースであるクリス・セール選手がボストン・レッドソックスへと移籍したトレードではないだろうか。このトレードでは現役最高クラスの左腕とトッププロスペクト(若手有望株)がトレードされたのだ。

【トレード内容】
ホワイトソックス→レッドソックス
・クリス・セール選手

レッドソックス→ホワイトソックス
・ヨアン・モンカダ選手
・マイケル・コペック選手
・ルイス・アレックス・バサベ選手
・ビクトール・ディアス選手

クリス・セール選手はホワイトソックスのエースとして5年連続二桁勝利をマーク。2015年シーズンには274奪三振をマークし最多奪三振のタイトルを獲得するなど球界を代表する投手だ。しかし、ホワイトソックス首脳陣との確執もあり放出が噂されていた。
ホワイトソックスは各チームと交渉を行っていたが、レッドソックスがトッププロスペクト(若手有望株)の一人であるヨアン・モンカダ選手を放出する決断を行ったのだ。これは内野手であるヨアン・モンカダ選手がメジャーに昇格してもレッドソックスではレギュラーとしてポジションがないための決断だと言われている。
トッププロスペクトとリーグを代表する投手のトレードが起きるのもメジャーリーグの醍醐味とも言えるだろう。