オープン戦8打数1安打でFAに
MLBジャイアンツとマイナー契約を結んでいた筒香嘉智内野手(32)が退団してFAになると報じられている。今年のオープン戦は5試合に出場して8打数1安打、2四球、打率.125、2打点。今後は日米の全球団を対象に所属球団を探すという。
気になるのは日本に帰ることも選択肢にあるのかどうかだろう。DeNA時代の2016年に44本塁打、110打点で2冠に輝き、NPBで205発の実績を引っ提げて2019年オフにポスティングシステムを利用してレイズに移籍したが、MLBで目立った成績は残せていない。
1年目に8本塁打を放ったものの、2021年シーズン中にドジャース、パイレーツと移籍。2022年シーズン中に自由契約となってからはブルージェイズ傘下、レンジャーズ傘下のマイナーやアメリカ独立リーグでもプレーした。
メジャーでは3年間プレーして182試合で18本塁打、75打点。昨年から今年にかけて日本のメディアで取り上げられることも減ったが、それでも歯を食いしばってアメリカ5年目を迎えていた。
DeNAでレギュラーを奪ったのも5年目
昨年12月には故郷の和歌山県橋本市に野球施設「筒香スポーツアカデミー」が完成。自ら総工費2億円を出資したとされる大型施設を建設したのも、野球への情熱とさらなる発展を願うからだ。
マイナー契約でもアメリカでプレーを続けるのも筒香の人間性を示していると言えるだろう。アメリカ5年目を前にしたNHKのインタビューでは「ここで逃げたら中途半端に自分の成長スピードが遅くなると感じたので、あえて苦しいところを選ぶことによって、もう一段人間として変われるなと思っています」と胸の内を明かしている。生半可な気持ちで渡米したわけではないのだ。
また、DeNAでレギュラーを奪ったのが横浜高から入団5年目の2014年。打率3割、22本塁打をマークした。アメリカで5年目を迎え、あの頃の感覚と似ているとも話している。ようやくアメリカの野球に順応しつつある手応えを感じているとすれば、このタイミングでの退団は悔しいに違いない。
まだ32歳と老け込む年齢ではない。とはいえ、アメリカでオファーがない場合、活躍できるうちに、自分の市場価値が高いうちに日本球界に戻るという決断をしたとしても決して驚けない。日本が誇るスラッガーは野球人生の岐路に立たされている。
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