練習試合で13K!NPBでは山本由伸を上回る奪三振率
シカゴ・カブスの今永昇太投手(30)が20日(日本時間21日)、米アリゾナ州で行われたジャイアンツ傘下マイナーとの練習試合に登板し、6回途中5安打3四死球13奪三振1失点の好投を見せた。
マイナー相手とはいえ、打者22人に対して13三振を奪ったことで今後への期待が膨らむ。奪三振率の高さは今永の特長のひとつだからだ。
DeNA時代の2023年は148イニングで174三振を奪い、最多奪三振のタイトルを獲得。9イニングで奪う三振数を示す奪三振率10.58も12球団の規定投球回に達した21人の中で最高の数字だった。ドジャースに移籍した山本由伸でも9.27、西武の剛腕・平良海馬でも9.18だったからその凄さが分かるだろう。
ちなみに2022年の今永の奪三振率は8.27で12球団4位、その前に規定投球回に到達した2019年は9.85で12球団3位だった。両年とも12球団トップはメッツで昨季12勝を挙げた当時ソフトバンクの千賀滉大。日本で実証した三振奪取能力の高さがメジャーでも通用することは千賀が証明している。
被本塁打が多い理由は?
逆に今永の課題を挙げるなら被本塁打の多さだ。20日の練習試合の1失点も一発を喫してのものだったが、2023年のHR/9(1試合で打たれる本塁打数を示す指標)は21人の中でワーストの1.03。1試合平均1本以上を打たれている計算で、トップの山本由伸の0.11とは大きな開きがある。
2022年は0.88で19人中14位、2019年は0.95で15人中10位だった。以前から被弾が多かったが、2023年は特に奪三振が増加した半面、HR/9も高くなっている。
今永の特徴を端的に示すのは、対戦打者の打球の割合を示す数値だ。2023年の打球に占めるゴロの割合を示す「GB%」は21人中最下位の36.5%。トップの中日・高橋宏斗の58.9%、3位・山本由伸の53.5%と比べると、いかにゴロが少ないかがよく分かる。
逆に打球に占めるフライの割合を示す「FB%」は21人中トップの55.6%。打球に占めるライナーの割合を示す「LD%」も21人中7位の7.9%と高い。
つまり、相手打者がボールの下を叩いているということだ。今永のボールがホップするほど切れているとも言えるが、持ち球がチェンジアップ、スライダー、カーブ、ツーシーム、カットボール、シュートと多彩な割にフォーク、スプリット系の落ちる球がないことも一因だろう。
さらに身長178センチと高くない今永は重心の低いフォームでコントロールも安定しているが、投げ下ろすタイプではないためボールに角度がつきにくく、打者がボールの下を叩きやすいとも言える。
相手打者の体格やパワーが強大なメジャーでは、さらに被本塁打率が高くなるリスクもある。日本球界屈指の左腕はMLBでどこまで通用するのか。バッタバッタと三振を奪うシーンを期待したい。
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