野茂英雄が自身2度目のノーノー達成
オリックスからポスティング制度でメジャー移籍を目指していた吉田正尚外野手が、来季からボストン・レッドソックスでプレーすることが決まった。15日(日本時間16日)には、本拠地フェンウェイパークで入団会見も行われ、背番号「7」のユニフォーム姿も披露した。
レッドソックスは、14度のリーグ優勝、9度のワールドシリーズ制覇を誇るメジャー屈指の人気球団。過去には松坂大輔や上原浩治らも所属しており、日本人にとっても馴染みの深い球団だろう。
今回はそんな名門レッドソックスに所属したことのある日本人選手について、その功績とともに振り返ってみたい。
レッドソックスに初めて入団した日本人選手は大家友和だった。1998年オフ、当時所属していた横浜からメジャー挑戦の了承を得た大家はFAとなり、レッドソックスとマイナー契約を結んだ。マイナーで結果を残した右腕は、19年7月19日のマーリンズ戦でメジャーデビュー。初登板初先発を果たしたが、1.0回5安打5失点で負け投手となった。
その後、昇・降格を繰り返したが10月1日のオリオールズ戦に2番手でマウンドに上がり、3回無失点に抑えメジャー初勝利を挙げた。2001年のシーズン途中にトレードでエクスポズ(現ナショナルズ)へ移籍。レッドソックスでは33試合に登板して、6勝13敗、防御率4.61の成績を残した。
2人目は野茂英雄。トルネード投法でメジャーでも旋風を巻き起こした右腕は、2001年に1年契約でレッドソックスに入団した。移籍後初登板は4月4日のオリオールズ戦。電気系統の故障で試合開始が遅れた中、先発のマウンドに上がり、自身2度目のノーヒットノーランを達成した。
この年は最終的に33試合に登板して13勝10敗、防御率4.50、220奪三振をマーク。4年ぶりに200奪三振を超え、自身2度目となる最多奪三振のタイトルも獲得した。シーズン終了後に古巣ドジャースへ復帰している。
松坂大輔が日本人初のWS勝利
野茂以降はしばらく日本人選手が在籍していなかったが、2007年に松坂大輔と岡島秀樹の2選手が同時に入団した。
松坂は、ポスティング制度を利用して西武から移籍。4月5日ロイヤルズ戦で7回6安打1失点と好投し、メジャー初登板初勝利を挙げた。1年目の成績は、15勝12敗、防御率4.40。日本人で初めてワールドシリーズで先発して勝利投手にもなり、チーム7度目の世界一に貢献した。
2年目の2008年には、野茂に次ぐ日本人2人目となる開幕投手を務めた。先発ローテの中心を担い、18勝3敗、防御率2.90と自己最高の成績をマークした。その後はケガなどもあり思ったような成績を残せず、13年にメッツへ移籍。6年間で56勝43敗、防御率4.45の成績を残した。
一方の岡島は、日本ハムからFA権を行使して移籍。1年目から中継ぎで66試合に登板して、3勝2敗5セーブ27ホールド、防御率2.22とセットアッパーとして活躍。ワールドシリーズ制覇にも貢献した。その後も2010年まで4年連続で50試合以上に登板。2012年に日本球界へ復帰するまでの5年間で、266試合に登板、17勝8敗6セーブ84ホールド、防御率3.09の好成績を残した。
2009年にはドジャースでクローザーを務めていた斎藤隆が、1年契約で入団した。前半戦は振るわなかったが、シーズン後半は防御率1.08、WHIP0.92安定した投球を披露。最終的に56試合で3勝3敗2セーブ2ホールド、防御率2.43の成績だった。翌年ブレーブスへ移籍している。
斎藤と同じく2009年に、田澤純一がレッドソックスに入団。社会人野球の新日本石油ENEOSに所属していた右腕は、日本のプロ野球を経由せず海を渡った。開幕はマイナーで迎えたが、8月7日のヤンキース戦でメジャーデビュー。延長14回からマウンドに上がり、最初の打者だった松井秀喜をセンターライナーに打ちとった。だが、後続につかまり2失点し、メジャー初黒星を喫している。
2年目は右肘の手術を受け、リハビリでシーズンを棒に振ったが、翌11年に復帰。その後、徐々に登板機会を増やしていき13年には自己最多タイの71登板で、5勝4敗、防御率3.16と好成績を残し、ワールドシリーズ制覇にも貢献した。翌14年も71試合に登板するなど、16年まで通算302試合に登板し、ブルペンを支えた。
上原浩治が日本人初のWS胴上げ投手に
2013年、上原浩治が7人目の日本人選手として加入する。オリオールズ、レンジャーズでリリーフとして好成績を残していた右腕は、当初勝ちパターンとして8回を任された。だが、クローザーが不調だったため、6月21日からその代役に抜擢されると、9月20日のブルージェイズ戦で20セーブ目を挙げてチーム6年ぶりの地区優勝を決め、胴上げ投手となった。
上原の快進撃はポストシーズンでも続く。タイガースとの対戦となったリーグチャンピオンシップでは6試合中5試合に登板して1勝0敗3セーブ、9奪三振無四球無失点と圧倒し、シリーズMVPに選出。さらに、ワールドシリーズでも日本人初セーブを挙げるなど奮闘し、優勝のかかった第6戦で試合を締め、日本人初の胴上げ投手となった。
その後、上原は2016年までレッドソックスに在籍し、4年間で230試合に登板して14勝13敗79セーブ32ホールド、防御率2.19の成績を残している。
そして、記憶に新しい2021年、ロッテの沢村拓一が2年契約で入団した。上原が着用していた「19」を背負い、1年目から55試合に登板して5勝10ホールド、防御率3.06を記録。チームのポストシーズン進出に貢献した。2年目は8月17日のパイレーツ戦でメジャー通算100登板&100奪三振をマークしたが、9月12日に自由契約となった。
以上、8人の日本人選手が名門レッドソックスでプレーした。これまで在籍していた日本人選手はいずれも投手で、吉田正尚は初の日本人野手としての入団となる。球団側は吉田の出塁率の高さから「1番・左翼」として期待しているとの報道もあるが、果たしてどのような活躍を見せてくれるのか注目だ。
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