肘と肩の不安払拭で出場を明言
2023年3月に開催される第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)にパドレスのダルビッシュ有投手(36)が日本代表の一員として出場することを明言した。
自身の公式ツイッターで「栗山監督に『来年のWBC出場しなさい』と言われたので出場します」と書き込み、栗山英樹監督(61)と握手する写真を掲載。さらに自身の文章や写真などを配信する「note」では、サンディエゴで栗山監督らと会談したことを明かした。
「決勝ラウンドからの参加も可だと言われていましたが、出場するなら日本ラウンドからいないと気持ち悪い部分もありましたのでそこを前提として考えていました」と3月9~13日に東京ドームで行われる1次ラウンドに出場する意思を綴っている。
シーズンオフが短くなることで2015年にトミージョン手術を受けた右肘と若い頃に不安のあった右肩の状態が心配だったが、クリアできたため発表に至ったという。「オフシーズンに入った時点では本当に五分五分だった」と出場を迷っていたことを打ち明けた。
いずれにせよ、ダルビッシュの出場は3度目の優勝を狙う侍ジャパンにとって明るいニュース。これまでダルビッシュが唯一出場した2009年のWBCを振り返ってみたい。
クローザーに回って胴上げ投手に
日本ハム時代の2008年、16勝4敗の好成績を残したダルビッシュは、原辰徳監督が指揮を執った2009年3月の第2回WBCに出場した。
3月5日、東京ドームで行われた日本代表の初戦、1次ラウンド中国戦に先発し、4回無安打無失点で勝利投手。3月9日の韓国戦では4番手で登板し、1回無失点だったがチームは0-1で惜敗した。
米サンディエゴのペトコパークで行われた3月17日の2次ラウンド韓国戦では再び先発したものの、味方のエラーもあって初回に3失点。結局、5回4安打3失点(自責点2)で敗戦投手となった。
その後、2次ラウンドを突破した日本は、3月22日の準決勝でアメリカと対戦。クローザーに回ったダルビッシュは9-4で迎えた9回に登板し、1安打を許したものの2三振を奪って無失点に封じた。
3月23日の決勝はドジャースタジアムで宿敵・韓国と対戦。3-2と1点リードした9回から登板したダルビッシュは、2四球とタイムリーを許して同点に追いつかれた。
迎えた延長10回表、今も伝説として語り継がれるイチローのタイムリーで再び5-3とリードすると、その裏も続投したダルビッシュは1四球を許しながら無失点。最後の打者をスライダーで三振させ、マウンド上で雄叫びを上げた。
ダルビッシュは計5試合で2勝1敗、13イニングを投げて7安打6四球20三振4失点、防御率2.08という成績を残している。
現役では数少ない前回優勝メンバー
ポスティングシステムで2012年からレンジャーズに移籍したダルビッシュは、日本で93勝、アメリカで95勝、計188勝をマークする大投手となった。まだ22歳だった2009年WBCの頃とは経験も実績も比較にならない。エンゼルスの大谷翔平も出場を表明しているが、ダルビッシュは年齢的に投手陣のまとめ役としての役割も期待できる。
WBCの優勝はその2009年以来遠ざかっており、無事に出場すれば前回の優勝を知る数少ないメンバーのうちの1人となるだろう。今も現役を続けるのは楽天・田中将大、中日・涌井秀章、巨人・中島宏之、ヤクルト・青木宣親、九州アジアリーグ大分・内川聖一くらいだ。
いろいろな意味でダルビッシュの出場は侍ジャパンにとって大きい。日本の野球界が誇る大物が集う最高のドリームチーム結成が楽しみだ。
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