2022年にメジャー147試合出場、打率.298
2023年3月に開催される第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)の日本代表にメジャーリーグで活躍する日系人プレーヤーを招集する可能性が一部で報じられた。その一人がガーディアンズのスティーブン・クワン外野手(25)。中国系アメリカ人の父親と日系アメリカ人の母親の間に生まれた日系二世で、母親は日本で生まれており、WBCに侍ジャパンの一員として出場する資格を満たしている。
クワンは1997年9月5日にアメリカで生まれ、2018年のMLBドラフト5巡目(全体163位)でインディアンス入り。2021年は3Aで77試合に出場して打率.328、12本塁打、44打点をマークした。
2022年開幕戦でメジャーデビューし、いきなり4試合で15出塁を記録。また、デビューから116球空振りなしを記録するなど4月のルーキー・オブ・ザ・マンスを受賞した。今季は147試合に出場して563打数168安打の打率.298、6本塁打、52打点、19盗塁の成績を残している。
身長175センチ、体重77キロと体は大きくないが、出塁率.373、OPS.772をマークしており、スタンドへ放り込む力もある左打ちの巧打者だ。
広角打法の阪神・近本光司タイプ
細かく見ていこう。今季は638打席で60三振しかしていない。三振を1つ喫するまでにかかる打席数を示すPA/Kは10.63。2022年の日本プロ野球で規定打席に到達した打者と比較すると、セ・リーグ3位の巨人・吉川尚輝(10.70)やパ・リーグ2位の松本剛(10.60)に近い。12球団トップのDeNA・宮﨑敏郎で13.77だからクワンはいかに三振が少ないか分かるだろう。
「出塁率-打率」で算出し、選球眼を示すIsoDは.075。日本の打者と比較すると楽天・島内宏明(.076)が近く、飛び抜けて高いわけではないものの真ん中よりは上だ。
本塁打を1本打つまでにかかる打数を示すAB/HRは93.8。日本の打者ではオリックス・宗佑磨(93.8)、阪神・中野拓夢(94.8)と同レベルで非力さは否めない。
ただ、二塁打を25本放っており、二塁打1本打つのに要する打数は22.5となっている。広角に打ち分ける打撃で、パワーよりはスピードで塁を稼ぐタイプ。左打ちということも含めて阪神の近本光司や中野拓夢、宗佑磨らと似たタイプと言えそうだ。
アメリカ投手陣などの情報収集での貢献?
クワンは体格的にもプレースタイル的にも日本人選手に近い。メジャーで1年プレーして、ある程度はアメリカやドミニカ、プエルトリコなどの投手に慣れていることは、他の日本人選手に比べてアドバンテージとなるだろう。
ただ、日本球界にも同タイプの選手は多数いる。近本だけでなく、ソフトバンクの柳田悠岐や日本ハムからFA宣言した近藤健介、ポスティングシステムでのメジャー挑戦を表明したオリックス・吉田正尚らスピードとパワーを兼ね備え、実績も十分な左打ちの外野手は多い。
アメリカや中南米の強豪を倒して金メダルをつかむためには、相手チームの情報も必要。そういう意味で現役メジャーリーガーの生の声は貴重だ。そういった要素も加味すればクワンの存在価値は高いかも知れない。いずれにせよ、栗山英樹監督の起用法や采配がカギを握りそうだ。
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