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大谷翔平、メジャー通算100号のデータに見える広角打法の進化

2022 5/20 06:00田村崇仁
エンゼルスの大谷翔平,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

松井秀喜、イチローに続く3人目の大台到達

米大リーグ、エンゼルスで投打の「二刀流」として活躍する27歳の大谷翔平が5月14日、オークランドでのアスレチックス戦でメジャー通算100本塁打を達成した。

「3番・指名打者」で出場し、左中間へ今季7号となる2ラン。日本選手では175本の松井秀喜、117本のイチローに続く3人目の大台到達だ。

メジャー5年目の大谷は2018年4月のインディアンス戦での初本塁打から出場459試合目(投手のみでの出場も含む)で、松井の636試合を抜いて最速での記録達成。このペースでいけば日本人初となる200号はもちろん、300号も夢の数字ではない。

度重なる内角攻め克服、各球団の包囲網にも対応

通算100号の内訳を大リーグ公式サイトなどのデータで見ると、コースに逆らわず、右翼、中堅、左翼へと全方向へ量産している打撃の進化が読み取れる。

46本塁打でア・リーグ最優秀選手(MVP)に輝いた2021年は力強く引っ張る打球が38.3%に増え、右翼への本塁打も半分以上と豪快な打撃スタイルを確立したが、これも度重なる内角攻めを克服するために対応した結果だった。

もともと大谷は中堅から左翼へ逆方向の打球を得意としており、2018~2020年は半分を超える本塁打を中堅と左翼へ量産。今季も包囲網が分厚くなる各球団のマークに対応しながら満遍なく広角に打ち分け、スタイルを微調整しつつ本領を発揮している形だ。

今季の打球速度はメジャー自己最速マーク

今季の大谷は4月のアストロズ戦でエンタイトル二塁打を放ち、大リーグのスタットキャストによると、打球速度で驚異の119.1マイル(191.7キロ)となるメジャー自己最速をマーク。昨年のロイヤルズ戦でマークした119マイル(191.5キロ)を超えた。

打球角度は2021年の16.6度に比べて今季は12.7度とライナー性の打球が増えているものの、スイングの力強さで爆発力を生み出している。

現在のメジャーにおいて最重要視されているのは「バレル」。打球速度と打球角度の組み合わせから成り立ち、初速98マイル以上、角度26~30度の打球は高い確率で長打、本塁打になるというデータがある。大谷はこの「バレル」でも19日現在で今季14%を超え、トップクラスにランクインしている。

最長飛距離は2021年6月のロイヤルズ戦で放った143メートル。平均は125メートル前後と並み居るパワーヒッターがそろう大リーガーの中でも出色の存在感だ。

100本塁打、250奪三振はベーブ・ルース以来

プロ野球の日本ハム時代は5年間で通算48本塁打だった。当時と比べてもパワーアップした打撃は誰もが認めるところだろう。

メジャー5年目で打者出場に限れば444試合目での到達。メジャーで日本選手最多の175本を打った松井が33歳で3桁に乗せたのに対し、大谷はまだ27歳と若く、松井をはるかに上回るハイペースでのアーチ量産である。

大リーグ公式サイトによると100本塁打と250奪三振の達成はベーブ・ルース以来という。100年以上の歴史を誇る大リーグでも傑出した才能を発揮する「二刀流」。先発ローテーションで難しい調整を強いられる中での最速達成でもあり、その価値は計り知れない。

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