22歳のスーパースター、故障明けはライトで復帰
22歳の若さで、サンディエゴ・パドレスと14年総額3億4000万ドル(約360億円)の超大型契約を結んだ、MLBが誇るスーパースター、フェルナンド・タティスJr.。最近は左肩の故障で15日間欠場していたが、15日(日本時間16日)のダイヤモンドバックス戦に「1番ライト」で復帰。2本塁打を含む5打数4安打4打点と大暴れだった。
普段はショートを守るタティスだが、この日はライトの守備も無失策でこなした。これまでのタティスの成績は打率299、33本塁打、74打点でOPSは驚異の1.050。盗塁も23個決めており、スーパースターの名に恥じぬ活躍を続けている。
本塁打と打点の2冠なら1932年チャック・クライン以来
タティスの選手としての特徴は、身体能力の高さを活かしたプレーにある。33本塁打は2位のアダム・デュバル(ブレーブス)の27本を大きく引き離すリーグ1位。盗塁数23は、先日ナショナルズからドジャースにトレードで移籍したトレイ・ターナーと並び、こちらもリーグトップだ。
ESPNのポール・ヘムキッズ氏によると、MLBの長い歴史において、1シーズンでリーグ本塁打王と盗塁王を獲得した最後の選手は、1932年まで遡るという。当時ナ・リーグのフィリーズでプレーしていたチャック・クラインが38本塁打、20盗塁で「2冠王」を獲得したのが最後だ。
タティスの活躍にはアメリカの現地関係者も舌を巻くばかり。今後、好成績を残し続けることができれば、実に89年ぶりとなるリーグ本塁打王、盗塁王の同時獲得者となる。
32試合欠場でも本塁打、盗塁リーグトップ
今季のタティスは、度重なる左肩の脱臼に悩まされている。4月に故障者リスト入りし、7月30日の試合での走塁時に左肩を痛めて15日間欠場していた。15日にライトで出場したのは、患部の負担軽減という意味合いが大きい。
これまで121試合を消化したパドレスだが、タティスは89試合出場(324打数)と計32試合欠場しながら、これだけの成績を残しているから驚きだ。
タティスと並んで盗塁数でナ・リーグ首位に立つトレイ・ターナーは、106試合に出場し、タティスより100打数以上多く打席に立っている(426打数)。当然のことながら、打席に多く立てば、出塁のチャンスもそれだけ増え、盗塁の機会も多くなる。タティスは2018年シーズンで盗塁王(42盗塁)に輝いたターナーより少ないチャンスで、同数の盗塁を記録しているのだ。
本塁打部門では、2位のデュバルが106試合に出場(373打数)し27本塁打。90試合の出場で26本塁打を放っているジョーイ・ボット(レッズ)を除けば、26本のフレディ・フリーマン(ブレーブス)、マックス・マンシー(ドジャース)、25本のピート・アロンソ(メッツ)らは100試合以上に出場し、350打数以上バッターボックスに立っている。タティスの左肩に問題がなくフル出場できていれば、どれだけの成績を残していただろうか
タティス復帰で巻き返しを図るパドレス
現在ナ・リーグ西地区で、ジャイアンツ、ドジャースに次ぐ3位に位置するパドレス。首位のジャイアンツには11ゲーム差をつけられているが、残り41試合をタティスが万全のコンディションで臨めるかが、チームのこれからを左右するだろう。
ナ・リーグのワイルドカード争いでは2位と出場圏内にいるものの、同3位のレッズとのゲーム差はわずかに1.5と猛追を受けている。
2020年オフに、カブスからダルビッシュ、レイズからスネルを獲得したパドレス。今夏のトレード・デッドラインでは、パイレーツからオールスターにも選出された二塁手のフレイジャーを補強した。大型補強とタティスの活躍で球団初のワールドシリーズ制覇を狙う。
※成績は日本時間8月17日現在
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