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3連覇中の公立・高岡商に、私立の有力校が挑む富山県の高校野球強豪校を紹介

2020 3/5 21:38山浦和樹
イメージⒸmTaira/Shutterstock.com
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公立ながら3連覇中の高岡商

現在、夏の富山大会3連覇中の高岡商。私立の強豪校が覇権をにぎる都道府県が多い中で、公立の3連覇は珍しいといえるだろう。夏の甲子園ではここ2年連続で3回戦進出。甲子園常連の長野・佐久長聖などに勝利したが、2年連続で大阪代表の超名門、大阪桐蔭と履正社に敗れている。

そんな高岡商の魅力は、なんといっても打力である。2018年夏の県大会では5試合全て、2019年も6試合中3試合で2ケタ得点を挙げた。過去3年を見ても4得点以下はわずか1試合のみだった。

高岡商では、バッティングの基礎となる、軸足を強く蹴るのに必要な練習を重視している。そのひとつが体幹トレーニングだ。ペットボトルに水や砂を入れたものをもち、四股の姿勢から骨盤を立てて股関節を入れる。そこから肩甲骨などを動かして鍛えていく。

ティーバッティングにも工夫が見られる。具体的にはネットに向かってオープンに構えてから、体を大きくねじり戻して股関節に重心を乗せる練習や、ティーバッティングを1本打ったら素振りをするなどだ。

こうした練習により、軸足で強く蹴れるようになれば、懐の深いバッティングが可能になる。

2019年の秋は県大会準優勝。北信越大会では、1回戦で強豪・日本航空石川に9-11と迫ったものの敗戦という結果に終わった。この夏は圧倒的打力を生かし、4年連続の甲子園出場を果たしたい。

2年連続準優勝の富山第一

高岡商が夏の県大会3年連続優勝を飾る中、2年連続で準優勝になったのが富山第一だ。2013年、2016年に夏の甲子園へ出場。新潟・中越や千葉・木更津総合などの強豪を倒した実績がある。

富山第一がもう一度甲子園の舞台に立つためには、守備力の強化が急務だろう。夏の県大会で、2019年は完封が2試合あったものの、2018年は3回戦から決勝までの4試合で4失点以上している。中でも2連敗を喫している高岡商相手には、2018年に14失点、2019年も7失点した。

一方で打力のレベルは高く、過去4年、夏の県大会全試合で4得点以上を挙げている。優れた打力をもっているものの、大量失点で敗れる富山第一。強豪チーム相手にある程度の失点で抑えられれば、4年ぶりの甲子園出場も見えてくる。

2019年秋季大会を制した高岡向陵

2019年、富山の秋を制したのが高岡向陵である。

同年夏は一回戦敗退。夏は過去10年で1勝のみと全く実績のなかった高校が、いきなり秋季大会で優勝したのだから驚きだ。

秋季大会の戦いをみると、全試合3失点以内と高い守備力が光る。夏の大会でも、過去5年の敗戦で二桁失点はなく、4試合が2点差以内だった。このことから夏までは「あと少しで勝てる」チームだったといえよう。秋季大会ではその「あと少し」を見事にクリアし、優勝したのである。北信越大会では、石川・金沢商相手に初戦コールド負けをしたものの貴重な経験になっただろう。秋の県大会を制した勢いで、次の夏は奇跡の甲子園出場なるか。

公立の星が4連覇なるか!それとも……

富山の高校野球では、夏の大会3連覇中の公立・高岡商の4連覇に期待がかかる。2年連続決勝で涙を呑んだ富山第一も、今年こそはと執念をみせてくるだろう。ほか、初の北信越大会に出場した高岡向陵、夏の県大会2年連続ベスト8以上の高岡第一、過去5年でベスト4が2回、ベスト8が1回の富山国際大付属などが有力校に挙げられる。公立校の星が続ける快進撃を止めるチームは現れるのか注目だ。