第96回センバツは健大高崎が群馬県勢初優勝
第96回選抜高校野球大会は健大高崎(群馬)の初優勝で幕を閉じた。センバツの群馬県勢としては1955年の桐生以来69年ぶりの決勝進出で、1936年の桐生中も合わせて過去2回は準優勝に終わっていたため、群馬県勢としても初優勝となった。
第96回選抜高校野球大会は健大高崎(群馬)の初優勝で幕を閉じた。センバツの群馬県勢としては1955年の桐生以来69年ぶりの決勝進出で、1936年の桐生中も合わせて過去2回は準優勝に終わっていたため、群馬県勢としても初優勝となった。
昨春の山梨学院に続いて2年連続の県勢初優勝。2022年夏に仙台育英(宮城)が東北勢初優勝を果たしたが、地域間格差は年々小さくなっていると言えるだろう。
かつては北国、雪国のハンデや野球熱自体に差があったが、甲子園の人気が高まるにつれ、私学が広告塔として野球部の強化に力を入れるようになった。
資金力のある私学なら立派な室内練習場を建設して優秀な指導者を招き、全国から有望な選手を集めることは可能だ。
選手たちも地元の高校から甲子園に出たい!と熱望するタイプは今では少数派だろう。実力の高い選手ほど場所を問わず、環境の整った有力校へ進学し、甲子園をステップに有名大学や社会人、プロを目指す。メジャーリーグさえそう遠くない現代では、日本は狭すぎるのだ。
優勝した健大高崎のメンバーの出身チームを見るだけでもよく分かる。
決勝で最後を締めた左腕・佐藤龍月は東京城南ボーイズ、先発した石垣元気は北海道・洞爺湖リトルシニア、今大会で打率.444をマークした4番・箱山遥人は東京・江戸川中央リトルシニアなど県外出身者が多数を占める。
かつては“外人部隊”などと揶揄する声も聞かれたが、最近は批判もほとんどなくなった。地元出身選手でチームを編成してほしいのは、あくまで見る側の論理であり、選手本人やその家族にとっては、より高いレベルで、なおかつ特待生など条件の良い高校に進みたいと考えるのは当然だからだ。
かつてはそれが一部の高校に限られ目立っていたため批判もあったが、今では全国的に拡大され、何ら珍しいことではなくなった。高校野球ファンの見方も、地元校を応援するだけでなく、地域を問わずハイレベルの好ゲームを楽しむというニーズが増えつつあるのではないだろうか。
そう考えると、今後は様々な地方の「県勢初優勝」が増える可能性がある。資金力のある私学全盛の時代がさらに加速すれば、どこの代表校が優勝してもおかしくはない。
裏を返せば、公立校や資金力の乏しい高校にとっては甲子園が果てしなく遠いものになり、かつては名門と呼ばれた高校も弱体化していくことが懸念される。二極化の進行は、オールドファンにとっては寂しいことも確かだろう。
メジャーリーグが身近になり、ワールドベースボールクラシックなど国際大会の盛り上がりによって、甲子園の存在が相対的に小さくなっているのかもしれない。
甲子園に憧れ、甲子園だけを目指し、甲子園で燃え尽きる時代ではない。トップレベルに近ければ近いほど、甲子園はその先を見据えたステップと考える傾向が強まっている。
球数制限や予備日の設定など高校球児を守ろうとする野球界全体の取り組みも相まって、全国的にレベルアップが加速していることは、野球の発展という視点で見れば歓迎すべきことだろう。
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