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「逆転の報徳」が決勝進出、連覇阻んで優勝してきた歴史は繰り返すか?

2023 4/1 06:00SPAIA編集部
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サヨナラ2度に逆転3度のミラクル進撃

第95回記念選抜高校野球大会は4月1日に決勝が行われる。

昨秋関東王者の山梨学院(山梨)と昨秋近畿大会準優勝の報徳学園(兵庫)が激突。山梨学院は山梨県勢として春夏通じて初の決勝進出となり、報徳学園が勝てば現ロッテ二軍チーフ投手コーチの大谷智久を擁した2002年以来21年ぶりの優勝となる。

準決勝では山梨学院が「広陵のボンズ」と呼ばれるスラッガー、真鍋彗を擁する広陵(広島)を撃破。報徳学園はプロ注目左腕・前田悠伍を擁する大阪桐蔭(大阪)に逆転勝ちと、ともに前評判の高かった優勝候補を破って決勝進出を決めた。

特に今大会の報徳学園は劇的な逆転勝ちが多い。初戦の健大高崎(群馬)戦では1点を追う2回に3点を奪って7-2で逆転勝ち。3回戦の東邦(愛知)戦は延長10回タイブレークの末、5-4でサヨナラ勝ちした。

準々決勝では昨夏王者の仙台育英(宮城)と対戦し、またも延長10回タイブレークの末、5-4で逆転サヨナラ勝ち。準決勝はセンバツ連覇を狙う大阪桐蔭に5点リードされながら、7回に追いつき、8回に勝ち越して7―5で逆転勝ちした。7回からリリーフで登板した前田悠伍を攻略しての価値ある勝利だった。

ここまでサヨナラ勝ち2度、逆転勝ち3度のミラクル進撃。アルプスから鳴り響く「アゲアゲホイホイ」の大応援で球場全体が一体になり、勢いに乗って頂上決戦に挑む。

1961年夏、6点差ひっくり返した「伝説の始まり」

今大会の進撃は「逆転の報徳」の真骨頂だが、そもそもそう呼ばれるようになったきっかけは1961年までさかのぼる。

初めて夏の甲子園に出場した報徳学園は初戦で倉敷工と対戦。両校無得点のまま延長に突入し、11回表に大量6点を失って万事休すかと思われた11回裏になんと6点を奪い返して追いついた。

さらに12回に1点を奪ってサヨナラ勝ち。「逆転の報徳」の異名は今も語り継がれる大逆転劇があったからだ。

同年夏は準々決勝で柴田勲を擁する法政二に敗れたが、報徳学園は1974年センバツで初優勝。1981年夏には金村義明を擁して全国制覇した。2002年センバツを含め、過去3度甲子園で優勝している。

ポイントは先制点献上!?

決勝は山梨学院のエース右腕・林謙吾を報徳打線がどう攻略するかがポイントだろう。球威、制球力とも高いレベルにある林から連打するのは簡単ではない。小技も絡めながら「アゲアゲホイホイ」とともにスタンドの雰囲気も味方につけたい。

今大会で仙台育英の夏春連覇と大阪桐蔭の春連覇を阻止した報徳学園。1981年夏2回戦では横浜の夏連覇を阻み、2002年春1回戦では日大三の夏春連覇を止め、いずれも優勝した。

2度あることは3度あるだろうか。たいていの場合、先制点がカギを握ることが多いが、「逆転の報徳」神話が生きているならそれは当てはまらない。もし山梨学院が先制すれば、劇的なドラマが待っているかも知れない。

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