タレント顔負けの人気、サインを求められることも
子供たちの憧れの職業にも挙がるYouTuber。チャンネル登録者数70万人を超える人気YouTubeチャンネル「トクサンTV【A&R】」に出演するトクサンこと徳田正憲さん（37）とライパチこと大塚卓さん（35）はサインを求められる機会も増えてきた。
「変装はしないけど、外を歩いてても身なりとか振る舞いとか気を付けるようになりました。ただ好きでやってるだけなんですけど、そういう感覚を持たざるを得ないですね」と徳田さんは打ち明ける。野球場やスポーツショップ、バッティングセンターなどで視聴者から声をかけられることはもちろん、すれ違ってから追いかけられたり、電車でボソッと話しかけられることもあるという。
「サインくださいと言われたらホントなの？と思います。ありがたいことですね」と徳田さんが話すように、本人たちが自覚する以上に世間からの人気は上がっている。
徳田さんは帝京高から創価大に進み、大学4年時には主将として全日本大学選手権で4強入り。卒業後にサラリーマンなどを経て、高校時代に野球部に所属していた大塚卓さんと草野球のチームメイトとして知り合い、YouTuberへ華麗なる転身を果たした。
元々は2人とも野球好きな一般人。それが今ではプロ野球チームとコラボしたり、スポーツメーカーから商品紹介を依頼されたりするまでになった。人気や影響力はタレントも顔負けだ。
ルールを変えた絶大な影響力
ある時、野球で使うリストバンドやサポーターの色が制限されるなど、不可解なルール改正があった。トクサンTVで疑問を投げかけたところ、結果的に規制が撤廃されるなどの再改正に至った。
「クレームのメールやファクスがたくさん届いて、組織のトップの方も決断せざるを得なかったと聞きました。誰も幸せにならないことに対しては、時として矢面に立たないといけないのかなと思います。発信してる人間として、そこは腹を決めてやるしかないです」（徳田さん）
要するにトクサンTVが世論を動かしたわけだ。それを意図したわけではないとしても、それだけの影響力を持っていることが証明された。だからこそ、事前にあらゆる反響を想定して、人を傷つけないように、不快な思いをさせないように議論を重ねるという。
軽はずみなコメントや行動はできない。その自覚を持った上で、日々の業務に取り組んでいるのだ。
60歳になってもトクサンTVがベース
トクサンTVは今後どこへ向かうのだろうか。ゴールは設定しているのか。
「正直ないです。YouTubeをプラットフォームにしながらいろんな人と出会って知識を得て、プロとアマチュアの架け橋的な存在になりたい。テレビなどに出ながらトクサンTVを広げていきたいなあと思います」と徳田さんはあくまでトクサンTVにこだわる姿勢を見せる。
テレビなど他のメディアにも出るのは、トクサンTVのファンや事業規模拡大のためだ。
目指す将来像の一例として挙げたのがAKI猪瀬さん。最近は大谷翔平の活躍で露出が増えているメジャーリーグ評論家だ。元々、プロ野球選手ではもちろんなく、スポーツライターとして活動していたが、メジャーリーグに明るい人材が少ないことからテレビなどで解説する機会が増えていった。徳田さんが目指すのは、そのNPB版だ。
「日本の野球界でAKI猪瀬さんのような立ち位置の方はいません。ほぼプロ野球OBです。OBの方にプロ目線の話をしていただきながら、アマチュアの人に分かりやすく説明できる力をつけて、ああいう立ち位置になっていきたいですね」
それも全てトクサンTVのため。50歳、60歳になる頃には「週末の野球をケガなく楽しむためのサプリメントの紹介なんかをしたいですね。膝が悪くなった方はこちらとか。一生涯、現役でいたいなと思ってます」と生涯現役を貫くつもりだ。
ⒸSPAIA
最後に野球への思いを聞いた。徳田さんは「野球には答えがないから面白い。現役時代はこうだと言われたら必ずハイと言ってたけど、受け手の思考力も重要だなと思います」と知れば知るほど奥の深い野球への情熱は全く冷めない様子だった。
大塚さんは「仕事という感じはしてない。趣味みたいなもんです。一般の野球人がたまたまYouTubeで発信してるだけですね」とニッコリ。気取らず、純粋に野球を追究しているからこそ視聴者の共感を呼ぶ。この世に野球がある限り、トクサンTVが終わることもないのかも知れない。
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