大学駅伝の絶対エース
神奈川大には絶対的なエースがいる。4年生の鈴木健吾だ。今や、大学長距離界で最も注目を浴びる選手であると言ってもいい。
愛媛・宇和島東高出身。高校時代はインターハイで入賞するような選手でもなく、目立った存在ではなかった。力をつけてきたのは、神奈川大に進学してからだ。
鈴木が大きく知られる存在になったきっかけは、3年生の時の箱根の走りだ。「花の2区」を走って区間賞を獲得し、大学駅伝界のスター選手の仲間入りをした。マラソンへの適性もあることから、日本陸上競技連盟のマラソン合宿にも招集された。
4年生になってからは、大学生のスポーツの祭典、ユニバーシアードのハーフマラソンで銅メダルを獲得。そして、今年11月の全日本大学駅伝はアンカーとして2位でたすきを受けると、17秒差を逆転して20年ぶり優勝の立役者になった。
その走りに対し、日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは、「いい走りだった。この2年でしっかりマラソンを走る体にして、東京五輪の星になってください。君に期待してるよ」とテレビを通してエールを送った。
163センチと小柄で、ダイナミック走りをするタイプではなない。ただ、上下動の少ない走りでありながら、ストライドが小さいわけではないのが魅力だ。足の返しも速く、小気味いい走りをする。長い距離が得意のタイプで、まさにマラソン向きと言える。
2018年の箱根に関して、神奈川大は優勝候補の一角に挙げられているが、鈴木本人は「まだまだ挑戦者」と謙虚な姿勢を崩さない。
鈴木は箱根を走った後の2月、東京マラソンで初マラソンへ挑戦するつもりだ。昨今、箱根の人気が高まり、本来のマラソンの強化という目的からは離れてきた(箱根が最終目標になり、マラソンへ挑戦しない選手が多い)が、かつての瀬古利彦のように箱根を通過点にできるほどの走りができるかどうか、楽しみである。