青学を支える失敗しない男
昨季まで3年連続で「花の2区」を走った一色恭志(現・GMO)のような絶対的なエースはいないが、やはり実力者はいる。その中でも気になるのが、「駅伝男」と呼ばれる田村和希の存在だ。
5000メートルの自己ベストは13分43秒22でチームトップ。1万メートルの自己ベストの28分18秒31は青山学院大記録だ。だが、駅伝男と言われるのはそのスピードにゆえんがあるわけではない。田村は駅伝で「失敗しない男」なのだ。
過去3大駅伝には8回出場。うち、6回で区間賞を獲得している。最初は1年生の時の箱根4区。今年は出雲、全日本とも区間賞を取った。スピードや、スタミナというだけなら、田村より速い選手はいるだろうが、とにかくロード、駅伝に強い。
今季は7月に7月に左足脛骨を疲労骨折したが、しっかり駅伝シーズンには間に合った。さすが駅伝男というところか。
田村は1年生から箱根に出場し続けているので、今回の箱根も勝つと、4年間すべて箱根を走り、全てで優勝した選手になる。
また、区間賞を獲得すれば3大駅伝の区間賞が「7」となり、日本選手では10回の小林雅幸(早稲田大)に次ぎ、渡辺康幸(早稲田大)と並ぶ歴代2位の記録となる。
原監督も今回の箱根のキーマンとして挙げたのは、この田村の名前だった。
「彼をどこへ持っていくか、彼がどう走っていくかで流れが大きく変わってくるかなと思います」
今回は3区での起用が濃厚か。ただ、策士・原監督がどこに配置するかは、なかなか読めないところではある。
田村は卒業後、実業団の住友電工に進む。指導者はかつてのスターランナー、渡辺康幸。箱根で区間賞を取り、3大駅伝での区間賞回数を来季からの指導者と同じ「7」にしたいところである。