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94回目の箱根を制するのはどこか 有力校、注目選手をさぐる(2)

2017 12/25 12:16きょういち
駅伝
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出典 lzf/ Shutterstock.com


94回目の箱根を制するのはどこか 有力校、注目選手をさぐる(1)

 2016年に東海大に進んだ後の鬼塚翔太は、持ち前のスピードに磨きをかけ、再び光りを放とうとしている。

 1年生の時は3大駅伝すべてで1区を任された。両角速監督からの信頼の証しだろう。出雲と箱根では1年生ながら区間2位の快走だった(全日本は区間10位だったが)。クロスカントリーの日本選手権でも優勝する力をつけた。

 そして、2年生になった今年、出雲で4区を走り、区間賞を獲得。そして、チームも10年ぶりに優勝を果たした。その時の鬼塚のコメントが以下のものである。

 「トラックでも駅伝でも強いのが一番かっこいいスタイルだと思っています。全日本でも箱根でも勝てたら、それを証明できると思います」

 ただ、1年生の時同様、今年も全日本ではうまくいかず、1区で区間9位。チームは2位に終わり、3冠への夢は絶たれた。

 12月10日に発表された2018年の箱根駅伝のエントリーリストの中に鬼塚の名前はあった。箱根でどこの区間を走るのだろう。過去の駅伝を見ると、1区起用が多い。箱根では2年連続の1区となるのだろうか。レース当日までは分からないが、雑誌のインタビューで鬼塚はこう答えている。

 「1区以外の方が走れるかなと思っています」

 1区だと集団を引っ張る形になり、無駄な力を使ってしまうことと、他校との差が開きにくくなってしまうことが要因だろう(もちろん、1区で出遅れないというのもレース展開を考えると重要なことなのだが)。

 高校生の時のようにアンカーになることはなさそうだ。アンカーで4年前の全国高校駅伝の悔しさを晴らしてほしいと筆者は思うのだが、どうやらそれは難しそうである。

東海大に君臨する「黄金世代」

 鬼塚ばかりのことを書いてきたが、東海大は何と言っても、2年生の「黄金世代」である。

 2年前の全国高校駅伝の1区で上位6位のうち5人が入学。これには、もともと進学を予定していた有名大学で暴力問題があったため、東海大に進路を変更したという選手が複数いると言われているが、理由はともかく、今の東海大の2年生には実力者が集まっている。

 その中でも特に注目されるのは関颯人だろう。

 関が脚光を浴びたのは長野・佐久長聖高3年生だった2015年の全国高校駅伝。スター選手が集う「花の1区」で区間賞を獲得。180センチ近い大柄な体が生み出すダイナミックな走りがスケールの大きさを感じさせた。

 大学1年生の時には出雲の3区で区間賞。さらに2年生での出雲ではアンカーとして区間賞を獲得し、チームを優勝に導いた。5000メートルの自己ベストは13分35秒81でチームトップ。今や、チームの大黒柱である。

 箱根では1年生の時は「花の2区」で区間13位と期待はずれに終わった。2年生では3区での起用が濃厚と言われる。

 ほかにも「黄金世代」には逸材がいる。

 埼玉栄高出身の館沢亨次は、全国高校駅伝1区6位。東海大進学後は全日本で2年連続して3区区間賞を獲得した。1年生の時の箱根は山登りの5区で区間13位。関とともに力を発揮できなかった。今年は山ではなく、平地を走る予定だ。

   ほかの2年生では、今年の出雲1区区間賞の阪口竜平と、同4区4位の松尾淳之介は、全日本大学駅伝のメンバーに選ばれなかったが、力はあり、箱根では体調さえ問題なければ、メンバーに選ばれるだろう。

 そして、箱根の山下りを2年連続で任されそうな中島怜利も2年生。やはり、東海大の中心は2年生である。

箱根のカギを握るのはスタミナがある上級生

 ただ、カギを握るとすれば、むしろ3、4年生かもしれない。

 箱根に出場する大学で、1万メートルの平均タイムは東海大がトップ。確かにスピードはある。

  「東海は短い距離しか走れないというイメージがあるかもしれないが、スピード強化の中で距離は踏んできている。距離に対する不安はない」。

 そう関は語るが、今年の全日本でもみせたように、やはり、2年生は長い距離への対応という部分で、まだまだ不安がある。箱根は一区間だいたい20キロを走る。1万メートルのスピードも重要だが、スタミナという部分がないと走りきれない。

 そうなると、2年生よりも長い距離の練習を積んでいる3、4年生に期待がかかる。特に全日本でアンカーを任されながら、神奈川大に逆転優勝を許した川端千都、全日本6区で区間2位の走りをみせた国行麗生の4年生コンビの走りが重要になりそうだ。

(続く)