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今年の大学駅伝は2強から混戦に 2017年全日本大学駅伝(5)

2017 11/14 12:51きょういち
駅伝
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出典 Pavel1964 / Shutterstock.com


今年の大学駅伝は2強から混戦に 2017年全日本大学駅伝(4)

 4区を終えて3位の青山学院大の原晋監督はまだ強気だった。

 「(勝つためには)1分20秒差が最低ライン」

 5区に入った時点でトップ東洋大とは1分9秒差。初優勝した昨年は、この時点でトップと1分7秒差の2位。ほぼ状況は同じだった。

 さらに原監督が「ターゲット」と語っていた2強の一角東海大とは7秒差にまで差を詰めた。逆転へのストーリーができはじめていた。そして、原監督はこう語った。

 「次(5区)の下田ですね」

 11・6キロの5区に、青山学院大はWエースの1人、下田裕太を配置していた。マラソンの10代日本最高記録を持つスタミナの持ち主。下田の力からすれば11・6キロはいささか短い感じもしたが、青山学院大としては、いいところで下田に回ってきた。

 期待通り、下田は1・5キロで、神奈川大の越川堅太とともに、2位東海大の湊谷春紀をとらえた。ただ、期待通りの走りはここまでだった。

 左足を痛めたのか、6キロ付近からバランスの悪い走りに変わった。実は10月の出雲駅伝で足にマメができ、10日ほど練習ができなかった。この5区に回ったのは、そのためだったのだろう。

 そして、この日も足に不調をきたし、万全の走りには程遠かった。下田は区間4位の走りで、トップ東洋大に1分3秒差の走りで、4位でたすきをつないだ。

 原監督が描いた5区下田で逆転というストーリーは崩れ、2連覇も難しくなってきた。

 かたや、青山学院大がライバルと目する東海大は湊谷が区間2位の快走。黄金世代の2年生に隠れてしまっている3年生が意地を見せる走りだった。順位は3位に落としたものの、トップとの差は20秒。優勝が射程圏内に入った。

 前半に選手をそろえた東洋大の5区は2年生の中村駆。5000メートル14分台の選手には荷が重かったか。トップを維持したものの、区間5位の走りで後続との差を詰められてしまった。

 この区間で一気に優勝が見えてきたのは東海大だけではない。20年ぶりの優勝を狙う神奈川大も、だ。5000メートル14分10秒台とスピードがあまりない越川が区間賞をマークし、4位から2位へ浮上。トップとの差は11秒差。アンカーに大学長距離会ナンバーワンの呼び声が高い鈴木健吾が控えているだけに、ダークホースの優勝が現実味を帯びてきた。

粘る神奈川大、突き放せない東海大

 6区は12・3キロ。終盤への流れをつくる区間である。

 トップ東洋大は1年生浅井峻雅、2位神奈川大は2年生安田共貴、3位東海大は4年生国行麗生が任された。3キロ過ぎからこの3校の三つ巴が繰り広げられた。

 その争いの終わりはあっという間に訪れた。5キロ過ぎ、この中で最も経験が少な東洋大の浅井が脱落。トップ争いは、東海大と神奈川大の2校の争いになった。

 そして、連覇を諦めていない青山学院大が順位を上げていた。

 青山学院大の6区は3大駅伝初出場の2年生竹石尚人。8キロ過ぎに東洋大をとらえ、3位に浮上した。

 東海大、神奈川大のトップ争いは終盤まで続いていた。

 繰り返しになるが、神奈川大には絶対的なエース鈴木健吾がいる。東海大からすれば、この6、7区でいかにリードを広げて最終8区にかかっていた。逆に神奈川大からすれば、いかの6、7区で粘れるか、だった。

 その意味で言えば、この6区は神奈川大安田の勝ちだった。7区へのたすきリレーのトップは東海大の国行に譲ったが、1秒差の2位でつないだ。

 いよいよ終盤の7、8区。戦前は東海大、青山学院大の2強の争いとみられていたが、前半は東洋大、駒沢大という、21世紀の大学駅伝界を牽引してきた2校がレースを引っ張り、関東の予選会トップながら優勝候補とまでは言えなかったが神奈川大が優勝争いの中心に躍り出た。

 「まだまだ、何があるかわからない」。20年ぶりの頂点を狙う神奈川大の大後栄治監督は、高ぶる気持ちを抑えるように、慎重に話していた。

(続く)

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