北口「練習の意味でもう少し投げたい気持ちもあった」
パリオリンピックの陸上競技は7日、女子やり投げの予選が行われ、日本記録保持者の北口榛花が1投目で決勝進出の基準となる62メートルを超える62メートル58を投げ、予選を通過した。
また、2022、23年世界選手権代表の上田百寧も、12番目の記録となる61メートル08を投げ、予選突破ぎりぎりとなる12位で決勝進出を決めた。斉藤真理菜は1回目の投てきで59メートル42をマークしたあとは記録を伸ばせず、予選敗退となった。決勝は日本時間11日2時30分から行われる。
昨夏の世界選手権金メダルの北口榛花が予選を軽々と通過した。予選は3回の投てきを行い、62メートル以上の記録をマークするか、上位12人以内に入れば決勝へと進める。予選Bグループの2番目に登場した北口は、1投目で62メートル58を記録し、あっさりと2大会連続の決勝進出を決めた。
北口は「今回のスタジアムでは当日しか練習できないので、練習の意味でもう少し投げたい気持ちもあったが、目標は1回で62メートル50を超えることだったので、超えられてよかった」と手ごたえを口にし、「初めて観客のいるオリンピックを経験したが、たくさんの観客が入っていてすごく幸せで楽しく試合ができている」と充実した表情を見せた。
やり投げ王国チェコでの単身修行が実を結ぶか
北口は5年前の2019年からやり投げ王国のチェコに渡り、武者修行を積んだ。ジュニア世代のチェコ代表コーチも務めるデービット・セケラックコーチのもと、下半身を強化するなど、基礎から鍛え直した。
そして、セケラックコーチとともに投げ方の改良にも取り組んできた。やりをまっすぐに引くよりも、体をひねることでやりに力を乗せ、より遠くへ飛ばそうとしてきたのだ。ただ、この投げ方は柔軟性だけでなく、筋力も求められるため、女子選手にとっては難しいとされていた。
しかし、「やるからには世界一を目指す」と強い覚悟でフォーム改造に取り組んだ北口はその難しい投げ方を見事に習得し、チェコに渡ってから日本記録を4回更新。昨年は67メートル38まで記録を伸ばし、世界ランキングは1位に。世界選手権でも金メダルに輝いた。
単身チェコに渡って急激な進化を遂げ、自分の投げ方を確立した北口。悲願の五輪金メダルを目指す戦いは大会最終日前日の10日(日本時間11日)に行われる。
「本番は決勝なのでしっかり修正して臨みたい。予選を見ていても仕上げてきている選手はかなり仕上げてきていると感じるので、決勝ではしっかりと今シーズンのベストを更新したいし、いい勝負をしたい」と意気込む世界女王。世界最高の舞台で”はるか”かなたへのビッグスローを放ち、頂点に立つ。
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