出雲駅伝10月9日号砲
学生3大駅伝の初戦となる出雲駅伝(10月9日)まであと1カ月になった。昨年度、史上5校目となる学生駅伝3冠を達成した駒大が今年も主役になるのか。近年の学生駅伝界を引っ張ってきた青学大の巻き返しがなるのか。駅伝シーズンの幕開けを前に、今年のロード、トラックレースから、各校の戦力を見る。
学生3大駅伝の初戦となる出雲駅伝(10月9日)まであと1カ月になった。昨年度、史上5校目となる学生駅伝3冠を達成した駒大が今年も主役になるのか。近年の学生駅伝界を引っ張ってきた青学大の巻き返しがなるのか。駅伝シーズンの幕開けを前に、今年のロード、トラックレースから、各校の戦力を見る。
箱根駅伝の優勝メンバー10人のうち卒業したのは3人だけ。駒大が今年も学生駅伝を引っ張る存在になることは間違いない。
中心になるのは、3年生になった篠原倖太朗だろう。1万メートルで27分43秒13をマークし、2023年の学生ランキングでは2位で、留学生を除いた日本選手だけで見ればトップのタイムだ。さらに、2年生時の2月に行われた丸亀ハーフマラソンでは1時間0分11秒の日本選手の学生最高記録を樹立した。
この篠原に加え、4年生には1万メートルの学生ランキングで日本選手3番目となる27分57秒52を出した唐澤拓海もいるから心強い。
5000メートルでは、2年生の佐藤圭汰が学生ランキング4位(日本選手2番目)の13分24秒29、4年生の鈴木芽吹が5位(同3番目)の13分24秒55のタイムを出している。
5月に行われた関東インカレ2部(長距離以外の全種目の結果で1,2部を分けるので、長距離強豪校も2部にいる)でも力を見せつけた。ハーフマラソンでは、4年生の赤星雄斗が優勝、2年生の山川拓馬が2位。5000メートルでは入賞者1人、1万メートルでも入賞者2人を出した。
昨年までの大黒柱で精神的支柱でもあった田澤廉(現トヨタ自動車)は卒業したが、後輩たちはその穴を埋める以上に力を増している。
22年度は出雲4位、全日本3位、箱根3位と、2年ぶりに無冠に終わった青学大。こちらは駒大とは対照的に箱根のメンバー10人のうち7人が卒業。今年は文字通り「新チーム」で臨むことになる。
中心となるのは4年生になった佐藤一世だろう。原晋監督からその「駅伝力」を高く評価される佐藤はロードが強く、1、2年生時は全日本大学駅伝の5区で区間賞。今年の1万メートルで青学大の中ではトップとなる28分23秒62をマークしている。
3年生の若林宏樹は2年時の丸亀ハーフマラソンで1時間1分25秒の好記録を出している。若林は1年生の時は3大駅伝全てに出場したが、2年時はいずれも出場なし。若林の復活は、青学には心強い。
関東インカレ2部の結果を見ると、1500メートルで2年生の宇田川瞬矢が優勝、4年生の山内健登が2位。3000メートル障害でも4年生の小原響が優勝、2年生の黒田朝日が2位に入った。2年ぶりのタイトル獲得へ向けて、駒はそろいつつある。
箱根で最多となる14度の優勝を誇り、今年1月の箱根で2位となって「古豪復活」を印象づけた中大は、1996年の箱根以来となる3大駅伝の優勝の期待がかかる。
箱根のメンバーのうち6人が残ったのは心強い。箱根3区区間賞で4年生の中野翔太は今年の5000メートルの学生ランキングで3位(日本選手トップ)となる13分24秒11をマーク。箱根2区区間賞で4年生の吉居大和も日本選手5番目となる13分27秒72のタイムを出した。吉居の弟で2年生の吉居駿恭も日本選手4番目の13分27秒33をマークするなど、各選手がトラックでスピードを磨いている。
関東インカレ1部のハーフマラソンでも箱根で9区を走った4年生の湯浅仁が日本選手トップとなる2位に入った。1500メートルと5000メートルでもともに8位入賞者を出すなど、昨年以上に力を付けてきている。
ルーキーで最もインパクトを残しそうな選手は、東京国際大のケニア人留学生、リチャード・エティーリだろう。すでに「史上最強の留学生」の呼び声がある。
なにしろ、1年生にも関わらず5000メートルで13分0秒17、1万メートルで27分6秒88をマークし、ともに日本学生記録を更新したのだ。特に、5000メートルのタイムは、「史上最強の留学生」として、昨年度まで東京国際大のメンバーだったイエゴン・ヴィンセント(現ホンダ)の学生記録を15秒近くも更新した。記録的にはすでに史上最強である。
日本選手では順大の吉岡大翔と東農大の前田和摩に注目が集まる。
吉岡は長野・佐久長聖高時代に5000メートルで13分22秒99の高校記録を樹立。順大進学後も関東インカレ1部5000メートルで4位に食い込んでいる。兵庫・報徳学園高出身の前田も2部の5000メートルで4位入賞。全日本大学駅伝の予選会でも1万メートルのU20日本歴代2位となる28分3秒51を叩き出し、母校を14年ぶりの全日本出場に導いた。
学生駅伝界に新たなスター誕生を予感させる1年になりそうだ。
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