リオ銅メダルから2大会連続出場内定
日本パラ陸上競技連盟と日本知的障がい者陸上競技連盟は5月10日、リオデジャネイロパラリンピック女子400m(上肢障がいT47)で銅メダルを獲得した辻沙絵が、東京パラリンピック代表に内定したことを発表した。辻は「2度目の出場権が得られて嬉しい」と喜びを語った。
2016年のリオ大会は60秒62で銅メダル。東京大会では金メダル獲得を目指している。
他にも男子400m(上肢障がいT46)に石田駆、女子400m(知的障がいT20)に外山愛美、女子100m(車いすT54)に村岡桃佳らが内定。パラリンピック日本代表には合計12人の選手が選ばれ、本番での活躍が期待されている。
58秒45の日本新記録を樹立
辻は4月25日に香川県で開催された国内最高峰のパラスポーツ競技大会「ジャパンパラ陸上競技大会」で58秒45の日本新記録をマーク。自らが保持していた58秒96を0秒51更新し、優勝を果たした。
58秒45は一昨年行われた世界選手権の2位に相当する好タイム。本人も冬のトレーニングの成果を実感している。

2016年のパラリンピックで出した記録と比較しても、2秒17も記録を伸ばしているのが分かる。今回の記録は2年ぶりの自己ベスト更新となった。東京パラリンピックではメダル獲得と57秒台を目指すことになる。
東京オリ・パラの中止求める世論にSNSで心境
一方、Twitterで「#東京五輪は中止します」がトレンドワード入りするなど、東京五輪・パラリンピックの中止を求める声が増えている。アスリートやスポーツチームにワクチンが優先的に行き渡ることに対して、貧困国や高齢者へのワクチン接種を優先すべきとの声も高まっている。
弁護士の宇都宮健児氏を中心に、オンライン署名サイトで東京五輪・パラリンピックを中止するための署名運動が広まり、結果的に35万人以上の賛同を得た。
宇都宮氏は自身のSNSを通して、「新型コロナにより、多くの人々が生命を脅かされ、経済的にも困窮を強いられている中、五輪中止判断の遅れによって国民の負担はさらに増しています」と述べている。
そんな動きに対して、辻は「競技に人生をかけて取り組んでいる。生活もかかっている。遊びではないことは分かってほしい」と心の内を明かす。
昨年、オリンピックの延期が決定した際、世界中のアスリートたちはその後のキャリアやトレーニング計画を見直さなければならなかった。トレーニングも思うように進まず、精神的に落ち込んでしまう選手も多く出現し、実際にメンタルヘルスをサポートするプログラムが組まれるなど、事態は深刻だった。
そんな中で東京オリンピック・パラリンピックが中止されると、多くの選手が絶望の淵に立たされることは想像に難くない。
しかし、医療現場の声や患者のことを考えると、一概に東京オリンピック・パラリンピックを開催するべきと言えないのもまた事実である。
「もちろん、アスリートだけが特別なんて一切考えていない。大会が開催されるかどうかは自分ではコントロールできないので、自分自身のパフォーマンスにフォーカスし、どんな状況になっても対応できるようにしたい」。辻は自身のSNSを通して、そう心境を吐露している。
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