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「有効」廃止した柔道の新ルール、時間無制限の延長制した大野将平が連覇

2021 7/28 11:00田村崇仁
2連覇した大野将平,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

2連覇は内柴正人以来4人目

決勝は9分26秒の激闘だった。柔道の男子73キロ級で日本のエース大野将平(29)=旭化成=が前回リオデジャネイロ五輪に続き、2連覇を達成した。

ゴールデンスコア方式の延長戦では先に指導2を受け、あと一つで敗れる苦しい展開。だが得意技の内股、大外刈りで攻め、最後は支え釣り込み足で「技あり」を奪った。日本男子の井上康生監督が「世界最強の柔道家」と最大級の賛辞を贈る男の強さを改めて証明した闘いでもあった。

1964年東京五輪から採用された柔道で、日本男子の連覇は2004年アテネ、2008年北京両五輪を制した66キロ級の内柴正人以来4人目。大野は世界選手権を2013、2015、2019年と3度制し、外国人選手には2014年夏を最後に負けなしとまさに無類の強さを誇る。

「有効」廃止、「一本」「技あり」「合わせ技一本」の3つに

2016年、国際柔道連盟(IJF)は東京五輪に向けた新ルールを発表。技の評価ポイントから「有効」が廃止され、「一本」と「技あり」だけとなっていたが、2018年から適用された現行ルールで「合わせ技一本」が復活した。

男子の試合時間を5分から4分に短縮して女子と統一することなども決定。IJFはルール改正の目的を、攻撃を促進し、一本の価値を高めるためと説明しているが、今回の五輪では4分で決着がつかず、「時間無制限」でゴールデンスコア方式の延長戦も増えている。

指導3度で反則負け、従来以上に攻勢が必要

2016年に発表されたルールで「有効」が廃止され、現行のルールで技の評価ポイントが「一本」「技あり」「合わせ技一本」になった。

IJFは技の優劣を重視し、指導差だけで4分間が終了すれば、時間無制限の延長に入る方式に変更した。

指導は従来の4度目から3度目で反則負け。選手は今まで以上に攻撃的な姿勢が求められている。

勝敗を決める「一本」「技あり」「合わせ技一本」そして「反則」

柔道の勝敗を決めるパターンは大きく分けて四つ。一つ目は「一本」だ。最も大きいポイントで「一本」が決まった瞬間、試合は終了する。「投げ」は相手を制す、背中を畳につける、強さ、速さの4つの要素を満たすことが条件。

「抑え込み」は寝技の展開に持ち込み、相手の背中及び両肩を畳に着けた状態で抑え込むことを指す。「抑え込み」の場合には20秒で「一本」となる。

二つ目は「技あり」。一本に必要な4つの要素のうち2つ以上を満たすもので、「完全に一本」とは言えないまでも相手を制している状態を指す。

三つ目は「合わせ技一本」。1つの試合で2回目の「技あり」を取ったとき、合わせ技一本となる。

四つ目は「反則」。わざと相手と組み合わなかったり、消極的な姿勢を取った場合など「指導」が与えられる。「指導」は3回受けると、その時点で「反則負け」となる。

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