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錦織の復帰時期は未定 来年は東京五輪で銀メダル以上を期待

2019 12/25 11:00中村光佑
2019年ケガに泣いた錦織圭Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ATPカップと全豪は欠場が濃厚

8月の全米後から肘のケガで全大会を欠場した錦織の復帰時期がいつになるのか、待ち焦がれているファンは多いだろう。現段階では復帰時期が明確になっているわけではないが、先月の記者会見で錦織は「1月か2月になる」と言及した。

つまりここから考えれば年初の国別対抗戦・ATPカップだけではなく、最初のグランドスラム・全豪オープンも欠場する可能性が高い。ただ、錦織は「リハビリはここまで順調」とも述べ、このまま問題なくいけば少なくとも2月初めのニューヨーク・オープンには復帰できる見込みであることを明かした。

錦織といえば、手首の大ケガから復帰した18年にはチャレンジャー大会からスタートしたものの、その後ツアーで3度の準優勝や全米オープン4強進出を果たし、驚異的なカムバックを見せてATPファイナルにも出場。20年はオリンピックイヤーのため、代表戦への参戦を増やす見込みだが、ATPツアーでのカムバックやビッグタイトル獲得にも期待がかかっている。

ミルヌイ氏との相性はいかに

そんな中、錦織からファンに向けて新たなニュースが先月末に飛び込んできた。錦織は19年度いっぱいで9年間共に戦ってきたダンテ・ボッティーニ氏(アルゼンチン)との契約を解消し、新たにマックス・ミルヌイ氏(ベラルーシ)とのタッグを組むことを明かした。ミルヌイ氏は18年に現役を退いたばかりの元ダブルスのプレーヤーで、錦織と同じIMGアカデミーの出身でもある。

男子ダブルスではグランドスラムで全仏での連覇を含む6度の優勝を誇り、シングルスでもタイトルを1つ獲得した。強烈なサーブと相手を全く恐れないネットプレーで、その猛々しい様子から「Beast(ビースト)」の愛称で知られていた。すなわち、錦織はネットプレーに磨きをかけ、弱点とも言われるサーブを克服する目的で、チームに迎え入れたと考えられる。

また、ミルヌイ氏とともに、肘に負担がかかりにくいグリップでスピードの出やすいサーブへと改良する意欲を見せている。錦織にとってはケガからの復活だけではなく、プレー面の変革にも注目が集まりそうだ。特にサーブは、錦織が最も不得意としてきた分野の一つでもあるが、短いポイントで終われるように改善できれば大きく結果が変わってくる可能性もあるだろう。

銅メダルを超えられるか

先にも述べたが、20年は東京五輪が開かれ、自国でプレーができる錦織にとっては大きな意味を持つ。すでに大坂なおみとともに五輪強化選手メンバーに指定されている錦織は会見でも、「リオよりもいい結果を出したい」と16年の銅メダルを超える結果を求めている。11月のデビスカップを欠場したことで、デビスカップの出場規定回数(3回)を満たせないことが決まっているが、肘のケガやこれまでの実績などを考慮し、例外規定適用を申請している。

錦織がメダルを獲得するには、2つの大きな壁がある。一つはフェデラー・ジョコビッチといったBIG3の存在で、特にジョコビッチは錦織が最も苦手とする対戦相手である。また、近年の若手の台頭も懸念材料の1つで、チチパスやティームをはじめとしたプレーヤーにも当然ながら勝たなければならない。リオ五輪ではゴールデングランドスラムを達成したナダルに3位決定戦で勝利し、日本男子テニス96年ぶりのメダルをもたらしただけに、自国での五輪開催は錦織にとってこの上ないチャンスであることは間違いない。