大相撲十一月場所とは
十一月場所とは大相撲の本場所のひとつで、2017年は10月30日に番付発表が行われたのち、11月12日に初日を迎え、11月26日千秋楽を迎える。これは一年の最後に行われる本場所だ。
会場は福岡県の福岡国際センターで場所名は「十一月場所」だが、開催地である九州から「九州場所」として知られている。十一月場所には、他会場とは異なる特徴もあり、一線を画した場所と見ることもできる。
今回はこの十一月場所と注目すべく力士について見ていこう。
十一月場所とは大相撲の本場所のひとつで、2017年は10月30日に番付発表が行われたのち、11月12日に初日を迎え、11月26日千秋楽を迎える。これは一年の最後に行われる本場所だ。
会場は福岡県の福岡国際センターで場所名は「十一月場所」だが、開催地である九州から「九州場所」として知られている。十一月場所には、他会場とは異なる特徴もあり、一線を画した場所と見ることもできる。
今回はこの十一月場所と注目すべく力士について見ていこう。
十一月場所の最大の特徴といえば、地元出身力士への大きな歓声だろう。九州出身力士への声援は対戦力士を飲み込む勢いだ。特に福岡県出身の元大関魁皇が現役だった際には、取組みのたびに大変な盛り上がりを見せた。
現在の九州出身力士は幕内・十両あわせて12名で、福岡県出身は琴奨菊関、松鳳山関、山口関、熊本県出身は正代関、佐田の海関、力真関、大分県出身は嘉風関、宮崎県出身が琴恵光関、そして鹿児島県出身は千代丸関、千代皇関、大奄美関、千代鳳関である。なかでもやはり福岡県出身力士への声援が大きく、琴奨菊、松鳳山両関取の取組みは大きな盛り上がりを見せる。
十一月場所のもう一つ大きな特徴と言えば、とても厳しく座布団投げが禁止されていることだ。大相撲ではしばしば、金星(横綱が平幕に敗れること)の際に観覧席から土俵に向けて座布団が投げられる慣行がある。危険な行為であるため、どの会場でも座布団投げを行わないように要請、注意喚起は行われているが、十一月場所では明確な危険行為と定め、2008年から厳しい取り締まりが行われている。
枡席の座布団は、他の会場では1人が座る正方形のもの4枚で用意されているが、十一月場所では長方形の2人が座れるサイズのものを2枚組み合わせており、投げにくくなっている。それでも座布団が投げられた場合は、警察に通報されるようになった。
前年の十一月場所を振り返ってみよう。この場所は、九月場所に全勝優勝を果たした豪栄道関の綱取り挑戦、また高安関(当時関脇)が大関昇進なるかなどに注目が集まった。優勝は横綱の鶴竜関。稀勢の里関(当時大関)も横綱3人に勝つなど好調を維持し、2017年に果たした横綱昇進の勢いがこの頃から感じられる。
しかし期待がかかった力士たちは大苦戦。豪栄道関は2けた勝利ならず、綱取りは失敗。高安関も7勝8敗と一点の負け越しにとどめたものの、この場所での大関昇進はお預けとなった(その後2017年5月場所後に大関昇進を果たしている)。
また地元出身として大声援を受け臨んだ琴奨菊関(当時大関)は5勝10敗と負け越し。その後大関のみならず関脇も陥落してしまった。
この結果を見ても、十一月場所はその年の集大成であるのと同時に。翌年の相撲をうらなう場所という性格も持ち合わせていることがうかがえる。
年内最後の本場所ということで、一年の勢いと疲労やケガの具合がモノをいう場所である。2017年は4横綱とも休場歴があり、その影響が懸念される。
稀勢の里関と鶴竜関は、揃って五月場所と七月場所を途中休場し、ともに負傷を抱え、夏巡業に復帰している。九月場所を経て、十一月場所で本来の相撲を見せてほしいところだ。白鵬関は三月場所を途中休場したものの、五月、七月で連続優勝するなど復活を印象的だ。
だが夏巡業中に負傷したため万全とは言えず、疲労やケガを伴って十一月場所を迎えるおそれもある。日馬富士関は前年の七月場所以来優勝から遠ざかっており、2017年の終盤戦に再起を狙っていることだろう。
満身創痍気味の横綱勢とは対照的に、昇進や三賞を受けた勢いのある力士は、そのまま駆け抜けていくことも考えられる。
三役では五月場所に大関昇進を果たした高安関、また七月場所で殊勲賞の関脇御嶽海関の活躍にも期待がかかる。五月場所の高安関は、9勝6敗と振るわない結果に終わったが、夏巡業の調子は良好だ。スタミナが持ち味でもある高安関なので、年内終盤戦の九月場所・十一月場所にも期待が持てそうだ。
御嶽海関は七月場所で白鵬関、稀勢の里関の2横綱を破って殊勲賞と調子が良い。五月場所に続き、2場所連続の殊勲賞に加えて夏巡業も好調で、いま波に乗っている力士だろう。十一月場所でも強い相撲を見せてくれることを期待しよう。
ここからは三役以下から注目力士を二人紹介する。
まず注目するのは、福岡県出身二所ノ関部屋所属の松鳳山関だ。地元出身ということもあり大声援の後押しを受け、これまでも十一月場所では敢闘賞を2度受賞している。また2017年前半は負け越す場所が続いたが、大関を破る取組みもあり2度の金星もあげている。
七月場所は勝ち越したこともあり、順調に夏巡業へ向かっている。突きと投げに定評があり、横綱が相手であっても十分勝ちに行ける実力ある力士だ。魁皇関、琴奨菊関に続く福岡県期待の力士として、活躍が期待される。
続いて紹介するのは、若干21歳の阿武咲(おうのしょう)関だ。青森県出身の阿武松部屋所属の平幕力士で、2013年にデビューすると2015年初場所から十両に昇進。2016年五月場所に幕下陥落するものの全勝優勝してすぐに十両に復帰すると、2017年の五月場所で初の幕内力士となった。
五月場所では10勝5敗と勝ち越しただけでなく敢闘賞に輝くと、続く七月場所でも10勝5敗と勝ち越し。七月場所では三賞には入らなかったものの、敢闘賞と技能賞の候補に残るなど、まさにホープといえる活躍を見せている。速攻突き押しが持ち味で、10秒以内に決着がつく相撲が多い。
足首の調子次第で相撲の内容が大きく左右される傾向があるが、ケガさえなければ若さと勢いで十一月場所も突き進んでいくことだろう。
十一月場所は一年の締めくくりともいえる場所であり、年間を通じての調子の良し悪しが成績にあらわれる場所といえるだろう。また地元力士への大声援と独自ルールによる独特な雰囲気もあり、力士をとりまく会場の雰囲気もいつもと異なるものになっている。
そういった特殊な点にも注目しつつ、2017年の大相撲を振り返り、2018年の展望を見ながら各取り組みを観戦するのも醍醐味といえるだろう。