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大相撲の特殊な報奨金制度、「持ち給金」について解説します!

2017 5/8 19:55茶色野うさぎ
大相撲
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出典 J. Henning Buchholz/Shutterstock.com

大相撲では少し特殊な報奨金制度があるのをご存知だろうか?「持ち給金」という言葉が使われるのだが、かなりの相撲通でないとピンと来ない言葉かもしれない。
今回はそんな「持ち給金」をわかりやすく解説していく。

「持ち給金」とはなにか?

力士にはその番付に応じてお給料が設定されていて、月給として受け取る。もちろん番付が高いほど高いお給料をもらうことができる。これとは別に成績に応じたボーナスが支払われ、これは「力士報奨金」と呼ばれている。
この制度で報奨金を受け取ることができるのは十両以上の関取からとなっていて、「力士報奨金」と「持ち給金」が密接にかかわってくるので、次の章からこのあたりをくわしく解説していく。

「力士報奨金」と「持ち給金」の関係

「力士報奨金」と「持ち給金」はほとんど同じ意味として使われることもあるが、厳密には少し違う。「力士報奨金」はその場所ごとに支払われるボーナスそのものを指している。そのボーナスとして支払う金額を決めるための基準になる金額が「持ち給金」にあたる。
力士たちは場所の成績に応じて「持ち給金」というものが上がっていくわけだが、場所後にその金額をもとに算出される金額を「力士報奨金」として受け取るという形になるわけだ。

「持ち給金」が増減する仕組み

「持ち給金」は力士報奨金を算出するための標準額となるわけだが、その増減の仕組みを解説する。力士たちには個人ごとに持ち給金が設定され、序の口に上がった時に3円、その後は勝ち越すごとに50銭が加算されていく。
さらに番付によって最低標準額が決まっていて、十両40円、幕内60円、大関100円、横綱150円となっている。番付が上がった時に持ち給金が低い場合はこの金額まで増額となる。ここからさらに金星をあげると10円、幕内での最高優勝には30円、全勝優勝なら50円が加算されていく。

「持ち給金」をめぐる戦い

個人の成績によって持ち給金が増えていくわけだが、金額が少し少ないと感じた方もいるかもしれない。しかし安心してください。実際に支給されるのはこれらの標準額の4000倍(2016年時点)となっている。なので横綱の最低標準額150円とすると、60万円が支給されることになる。かなりの金額だ。
勝ち越しで50銭となっているが、少しでも積み上げたいと力士たちは勝ち越し目指してがんばる。金星の場合は10円加算されて支給金額が4万円増えるわけだから、旨味が大きいのだ。

「持ち給金」は実際にはどれくらいか?

「持ち給金」として歴代最高の記録は、長い間、1960年代に活躍した横綱・大鵬関の1,489円50銭という記録だった。この記録を破ったのが現役最強の横綱・白鵬関で、順調に持ち給金を伸ばし2017年1月場所を終えた段階で1,799円という数字を記録している。この数字は現役の中でもダントツで、2位の日馬富士の持ち給金が同じ時点で537円50銭となっている。
ちなみに1,799円の持ち給金を持つ白鵬関は場所後に、4000倍となる719万6千円を力士報奨金として受け取る。持ち給金の仕組みの中ではやはり優勝回数の多さが重要であることがわかる。

まとめ

大相撲で使われている「持ち給金」というものがどういう制度か解説してきたが、いかがだっただろうか?負け越しなどの悪い成績で下がることはないようなので、番付を上げてコツコツ勝ち越しを続けていくと毎場所ごとにそれなりのボーナスをもらえるようだ。
優勝はもちろんだが、金星をあげた力士も内心すごく喜んでると思うので注目してみよう!