2度優勝のベテランにまたひとつ勲章
大相撲九州場所で東前頭11枚目の玉鷲が昭和以降6人目の40代幕内力士となった。1984(昭和59)年11月16日にモンゴルで生まれた玉鷲は、九州場所7日目が40歳の誕生日。翠富士を押し倒しで下し、節目の一番を白星で飾った。
初土俵は2004(平成16)年1月場所。最高位は関脇で、2度の幕内優勝を果たしている大ベテランにまたひとつ勲章が加わった。
昭和以降、40代で幕内力士だったのは過去5人しかいない。戦後に限ればわずか2人だ。歴代のレジェンドは下の通りとなっている。
戦前は能代潟、大潮、藤ノ里の3人
秋田県出身の能代潟は大関まで務めた名力士で、東前頭5枚目だった1935(昭和10)年5月場所で40歳として土俵に上がった。この場所は8勝3敗と勝ち越したが、1936(昭和11)年5月場所で全休し、そのまま現役を引退した。
大潮清治郎は1932(昭和7)年1月場所に31歳で新入幕と遅咲きで、最高位は関脇。40歳だった1941(昭和16)年1月場所を西前頭11枚目で迎えたが、4敗11休に終わり、翌5月場所(当時は年2場所制)で3勝8敗4休と負け越し、引退した。
ちなみに通算1891回出場の最多記録を持ち、通算964勝を挙げた大潮憲司は40歳まで土俵に上がったが、最後の1988(昭和63)年1月場所は幕下だった。
藤ノ里は1930(昭和5)年5月場所で新入幕を果たしたが、1932年の春秋園事件で協会を脱退。1938(昭和13)年1月場所で復帰し、40歳だった1941(昭和16)年5月場所で東前頭20枚目として8勝7敗と勝ち越した。その後、十両陥落した1943(昭和18)年に引退した。
戦後は名寄岩、旭天鵬に続き玉鷲が3人目
名寄岩は1937(昭和12)年1月場所で新入幕。1943(昭和18)年1月場所で大関昇進を果たし、東前頭9枚目で迎えた1954年(昭和29)年9月場所中に40歳となり、4勝11敗と負け越して同場所を最後に引退した。
モンゴル出身の旭天鵬は1998(平成10)年1月場所で新入幕。2003(平成15)年7月場所で最高位の関脇まで上がり、西前頭7枚目だった2012(平成24)年5月場所で平幕優勝を果たした。37歳8カ月での初優勝は史上最年長記録だった。
その後、東前頭14枚目だった2014(平成26)年9月場所を前に40歳となり、名寄岩以来60年ぶりとなる40歳での幕内勝利を記録。同場所は8勝7敗で藤ノ里以来73年ぶりに40代で勝ち越した。結局、西前頭11枚目だった2015(平成27)年7月場所で3勝12敗と負け越し、通算927勝944敗22休の成績を残して引退した。
ベテラン玉鷲はまだまだ元気。41歳1カ月で引退した能代潟の最高齢記録を塗り替えることができるか注目される。
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