最大3人のオーバーエージ枠に意欲
サッカーの元日本代表で所属クラブのない「浪人生活」を送っていたMF本田圭佑が11月6日、オランダ1部リーグのフィテッセに加入することが決まった。
今季終了までの短期契約となり、自身のツイッターで「プレーするのを楽しみにしている。今から待ち切れない。皆さん、ご存じのように自分は2020年東京五輪でプレーしたい。代表に選ばれるようにいいパフォーマンスを見せなければいけない」と英語でコメント。最大3人のオーバーエージ(OA=24歳以上)枠での東京五輪出場に改めて意欲を示した。
数々の挫折を乗り越え「有言実行」で夢を実現してきた33歳のカリスマだけに今後の活躍が注目されそうだ。
10年ぶりのオランダ復帰
昨季限りでメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)を退団した本田は今夏の移籍市場閉幕までに新たな所属クラブが見つからず、その後も古巣のACミラン(イタリア)や名門マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)にSNS上で「自分にオファーを」と異例の公開ラブコールに出るなど新天地を探していた。
2008年からVVVフェンロ(オランダ)で約2年プレーした本田にとって、10月末から練習に参加していたフィテッセへの移籍は約10年ぶりのオランダ復帰。クラブ公式サイトに「オランダでのプレーは久しぶりなので、ファンが覚えてくれていたらうれしい。とにかく自分はピッチで感動を与えられるよう全てをささげる」と意気込みを語った。
フィテッセは本田のCSKAモスクワ(ロシア)時代の監督だった恩師スルツキ監督が率いているのも大きなプラス材料だろう。
OA枠は大迫、吉田、長友ら有力?
クラブによると、労働許可証の取得を経て、今月中旬の国際試合期間の後に正式加入となる見通しだ。昨夏から務めるカンボジア代表の実質的な監督は継続する。
フル代表、東京五輪世代のU-22代表を兼任する森保一監督は、東京五輪でのOA枠について明言していないが「金メダルを取るために最強チームをつくる」と表明しており、1968年メキシコ五輪以来52年ぶりとなるメダルへ有力な選択肢に入っているのは間違いない。

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最強メンバーを考えると、チーム力や経験値をアップさせるだけでなく、層の薄いポジションをカバーする意味合いも強くなる。OA枠には本田だけでなく、現段階で左サイドバックの長友佑都(ガラタサライ)や武藤嘉紀(ニューカッスル)も意欲を示しており、激戦が予想されそうだ。
東京五輪で3-4-2-1のシステムを採用することを踏まえた場合、層が薄いセンターフォワードは大迫勇也(ブレーメン)や武藤らが有力候補か。
ボランチでは柴崎岳(デポルティボ)、遠藤航(シュツットガルト)らが候補に挙がってきそうだ。GKは最も経験を問われるポジションといわれ、過去にも2000年シドニー五輪で楢崎正剛、2004年アテネ五輪で曽ヶ端準をOA枠として招集された経緯がある。今回も川島永嗣(ストラスブール)らの招集があるのか。センターバックは経験豊富な吉田麻也(サウサンプトン)らの名前も挙がってくるだろう。
「見返してやる」と逆襲を予告
本田は自身のSNSで「信じる道を突き進め」と記した上で、約1分間の動画に「見返してやろうと思って。マジで。全員、何回オレに見返されたら気が済むんかわかってないみたいやから」と逆襲を予告するように関西弁で熱く語るシーンも公開した。
3人しかない東京五輪のOA枠も競争が熾烈なのは覚悟している。オランダで再び輝きを放ち、競争に割って入ることができるのか。五輪への戦いが始まった。