豪州とNZ共催で7月20日開幕
歓喜の初優勝から12年。サッカーの女子ワールドカップ(W杯)はオーストラリアとニュージーランドの共催で7月20日に開幕し、2011年ドイツ大会で米国を破って栄冠に輝いた日本代表「なでしこジャパン」が2度目の頂点を狙う。
2015年カナダ大会でも準優勝と輝かしい成績を残した日本は、2019年フランス大会で16強どまり。「黄金期」を知る主将の熊谷紗希(ローマ)や司令塔の長谷川唯(マンチェスター・シティー)ら海外クラブ所属9人と過去最多の布陣で巻き返しを期す今大会は、32チームが8組に分かれて1次リーグを実施し、C組の日本は7月22日にザンビア、7月26日にコスタリカ、7月31日にスペインと対戦する。
驚きの岩渕落選、19歳の藤野ら若手も台頭
6月13日、日本代表の池田太監督が発表した23人のメンバーには大きな驚きがあった。過去3大会代表でエース候補とみられた岩渕真奈がまさかの落選。岩渕本人はSNSで「今回メンバーに入る事はできませんでしたが、チームのみんなに気持ちを託せたらなと思います」とコメントしたが、これまでの「経験」以上に現在のコンディションを優先させたことが理由として説明された。
一方でセットプレーのキッカー役となる猶本光(三菱重工浦和)や国内リーグで4季連続得点王の実績を持つ田中美南(INAC神戸)、19歳のアタッカー藤野あおば(日テレ東京V)らがW杯初選出となった。池田監督が指揮した昨年のU―20(20歳以下)W杯で準優勝したメンバーも藤野、浜野まいか(ハンマルビー)、石川璃音(三菱重工浦和)の3人を選出し、若手台頭も期待される。
チームの守護神は経験豊富なGK山下杏也加(INAC神戸)。最後尾からげきを飛ばし、前回大会のリベンジに燃える。
優勝チームの選手に27万ドル支給
国際サッカー連盟(FIFA)によると、出場チーム数が24から32に拡大した今大会は賞金総額が前回2019年大会から4倍近くの1億1000万ドル(約158億4000万円)に増え、懸案だった女子選手の待遇改善へ大きくかじを切ったことも一つの話題だろう。さらに2027年大会では男子のW杯と同額にする目標を掲げた。
今回の賞金は全登録選手に配分し、優勝チームの選手なら27万ドル(約3800万円)、準優勝で19万5000ドル(約2800万円)、1次リーグ敗退でも3万ドル(約430万円)が支払われることになった。
一方、放送権料を巡っては欧米での競技人気の高まりや大会の賞金増額を背景に放送権料が高騰し、FIFAと各国放送局の交渉が難航。日本でのテレビ中継も白紙状態でまだ決まっていない。欧州主要国での放送は6月中旬にようやく決定したというが、日本でテレビ中継がない場合、ネットでの有料配信となる見通しだ。
WEリーグは女子W杯のテレビ中継を目指し、異例のクラウドファンディングの実施を決めた。大会開幕まで1カ月を切り、どんな展開になるのか、舞台裏でも予断を許さない駆け引きが続いている。
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