クラブでも代表でも評価を高める板倉滉
板倉滉がドイツを中心に高い評価を受けている。19年1月にマンチェスター・シティに完全移籍し、2021-22シーズンは期限付き移籍先のシャルケ04(ドイツ2部)でプレー。主力として31試合出場4得点でチームNo.1のパス成功率を記録し、1部昇格と2部優勝に多大な貢献をみせた。
クラブからは「ピッチ上で傑出した選手の一人であったことは、誰も疑う余地がない」との評価を受けたが、シャルケ04の財政難により完全移籍は叶わず。それが明らかになった途端に多くのクラブが興味を示し、最終的にはボルシア・メンヒェングラートバッハ(ボルシアMG=ドイツ1部)への完全移籍となった。
ボルシアMGはリーグ制覇5回を数える古豪。2021-22シーズンこそドイツ1部で10位と苦しんだが、2019-20シーズンには4位に入り、2020-21シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグにも出場している。
複数クラブの争奪戦の末、移籍金は7億円以上に
地元メディアによると、板倉とボルシアMGは4年契約で、移籍金は500万ユーロ(約7億500万円)。出来高で最高75万ユーロ(約1億500万円)が上積みされるという。背番号は3が用意された。
いずれの条件も、主力を担ってほしいという評価の高さが表れているものだ。
なにより心強いのが、今夏からボルシアMGの監督を務めるダニエル・ファルケ氏が板倉の獲得を望み、すでに高い評価を与えていること。ドイツ紙『ビルト』の取材に「コウはスーパーな男。シャルケで素晴らしいシーズンを送り、印象深いプレーを見せ良い形で成長した」とコメントしている。
サッカー界ではオーナーをはじめとするクラブ側が、監督の意向を顧みずに選手を獲得するという、選手にとっても監督にとっても不幸な移籍が時折発生する。だが板倉の移籍はそれとは無縁で、思う存分実力を発揮できる環境が与えられるはずだ。
代表ではCBを務める板倉の成長で、SB問題が解決する理由
また板倉の成長は、ボルシアMGだけでなく日本代表にとっても大きな意味を持つ。長年の懸念材料であるCBの強度を上げられるだけでなく、歴代のCBにはあまり見られなかった足下の技術も魅力的だ。
森保監督率いる現在の日本代表では、SBの層の薄さとDHの遠藤航の替えがきかないことが課題となっている。また吉田麻也(シャルケ04/ドイツ1部)と冨安健洋(アーセナルFC/イングランド1部)がCBコンビを組むことが多いが、冨安はクラブでは主に右SBを務めている。それらを一気に解決し得るのが、板倉の台頭だ。
板倉が吉田とCBでコンビを組むことで、冨安を右SBとして起用することが可能になる。さらに板倉はDHでもプレーでき、遠藤のポジションでも似た仕事ができるだろう。その際には伊藤洋輝(VfBシュトゥットガルト/ドイツ1部)や谷口彰悟(川崎フロンターレ)らがCBの位置に入ることになる。
守備陣に板倉、冨安などポリバレントな選手が増えたことで選択肢が増している日本代表は、11月21日から始まるFIFAワールドカップでのベスト8進出が目標。日本人でさえ多くが苦戦を予想しているが、板倉が期待通りにボルシアMGで定位置を確保し、トップフォームの状態でメンバー入りできれば、目標達成に向け一筋への光が見えてくる。
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