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サッカー日本代表ウズベキスタン戦3つのポイント、左SBに旗手怜央を推す

2021 12/13 11:00中島雅淑
旗手怜央,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

精彩欠く長友佑都

来年1月21日に行われるキリンチャレンジカップ2022ウズベキスタン戦(埼玉)のメンバーが発表された。国際Aマッチデーの対象ではないため、サッカー協会に選手を拘束する権利がなく(日本人選手の最大派閥を占めるブンデスリーガがウインターブレイクに入っているという事情もあるだろう)、国内組のみの選出となった。

この一戦は、同27日に行われるカタールW杯予選中国戦(埼玉)、2月1日サウジアラビア戦(同)に向けた調整の意味合が強いが、注目される点は3つある。

1つは、長きに渡ってベテラン長友佑都が君臨する左SBのいわゆる「プランB」だ。国際Aマッチ出場数歴代2位の131試合(2021年12月時点)の記録を持つ男も本大会時には36歳になる。直近のゲームでは攻守に精彩を欠くこともあり、新戦力の台頭が望む声も多い。

最終予選でこのポジションで出場機会を増やしているのが、オランダ・ズヴォレでプレーする中山雄太だ。派手なオーバーラップこそないが正確なキック技術とポジショニングの良さで特に攻撃面での貢献が際立つ。

しかし、今回は海外組を招集することはできない。森保監督はこのポジションに誰を起用するのか。

香川真司もU-20W杯でDF登録

まず考えられるのが、酒井宏樹の左SB起用だ。同ポジションで本格的にプレーを始めたユース年代の頃は左でプレーしていたという酒井はドイツやフランスなど海外でのプレー経験も豊富。左右で「見える景色が違っても」パフォーマンスレベルが落ちることはないだろう。

しかし、酒井ももうベテランの域に達しており、この問題の根本的な解決にはならない。そこでぜひとも試したいのが川崎Fの旗手怜央だ。

先日のJリーグアウォーズでも史上最多7人の選手がベストイレブンに選出され、充実一途の川崎だが、本来攻撃的MFながらチーム事情から同クラブや先の東京五輪でも左SBでプレーしている。「最強のマルチロール」である旗手だが、監督としては同選手の処遇は悩みどころだ。

あくまで適正ポジションは前線。しかし、前線には強烈なライバルがひしめいている。選手としては出場機会を得るために本来の仕事場でないポジションを受け入れるという割り切りも必要だろう。

過去にはあの香川真司も07年に開催されたU-20ワールドカップにはDF登録で本大会にエントリーしている。その後の活躍については誰もが知るところだ。A代表の10番として華々しい活躍を見せるエースへと成長していった。いつ、選手がきっかけをつかんで才能を花開かせるか分からないのだ。

チームのバランスや弱点を補うための用兵も重要だが、選手が本当に能力を発揮できる環境で起用するのも監督の仕事ではないだろうか。 旗手にしても純粋なSBではなく、ネガティブトランジション時の危機察知能力やポジショニングなど、世界の強豪と対峙したときに未知数な部分はある。そういったテストを繰り返しながらこの解決策を探っていくしかないだろう。

1トップは古橋享悟で

次に、1トップの問題だ。現政権下のファーストチョイスである大迫勇也はポストプレー、そして中盤に下りてきてスペースを作り出す動きと攻撃面のほとんどすべてに絡んでいると言っても過言ではない。何より得点を挙げることで周囲の批判を封じ込めてきた。

しかし、所属クラブの降格や移籍、負傷とネガティブな要素の中でなかなかコンディションが上がらない日々が続き、最近はストライカーに最も必要な怖さが欠けているように思われる。

結果がすべてという分かりやすいポジションである1トップには、是非ともセルティックのエースに成長した古橋享悟を起用してほしい。森保監督はこのスピードスターを右サイドで起用する方針を崩さない。これにはセルティックのアンジェ・ポステコグルー監督までもが異を唱える異例の事態となっている。

現在のクラブでの活躍を見れば「ゴールまでの最短距離」で古橋を起用するのが得点力の向上につながるのは明らかだが、現在のチームには見えない序列が存在するのも事実だ。そのスピードを生かすポジションはサイドではない気がするが、まずは与えられたポジションで結果を出していくしかないだろう。

荒木遼太郎にも期待

また、いわゆる東京五輪世代も多くメンバーに入った。これまでの歴史を見ても五輪を経て代表の主力に定着していく、というのがひとつの傾向として見て取れるが彼らにとっては重要なアピールの場になるだろう。

その東京五輪世代の次を担う、パリ五輪世代として唯一の選出となったのが鹿島に所属するFW荒木遼太郎だ。今季はリーグ戦36試合出場10得点と大ブレイク。ドリブルに特徴のある選手で代表に推す声は多かった。代表でもどのようなプレーを見せてくれるのか、非常に期待される。

このように見どころの多い試合になる。すでに主役は決まっている感もある現在の代表だが、新たなオプションを発見する機会になるだろうか。

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