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福岡堅樹が挑む東京五輪7人制ラグビー 15人制との違いは?

2019 10/23 17:00田村崇仁
東京五輪を目指す福岡堅樹Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

前回リオ五輪4位、リベンジ期す「フェラーリ」

ラグビーの日本代表は地元のワールドカップ(W杯)で初めて8強入りを果たし、準々決勝で優勝2度を誇る南アフリカに3-26で敗れたとはいえ、日本列島を熱狂させて快進撃の幕を閉じた。4年後の2023年W杯フランス大会は4強入りが新たな目標となるが、早くも来年の東京五輪で「セブンズ」と呼ばれる7人制ラグビーに俄然注目が集まっている。

50メートル5秒台の快足を武器に高級スポーツカーの「フェラーリ」と世界で形容されたWTB福岡堅樹は今大会で15人制ラグビーのW杯が最後となり、次は7人制ラグビーでの出場を目指す東京五輪を「ラストステージ」と位置付ける。2016年リオデジャネイロ五輪は3位決定戦で南アフリカに敗れてメダルを逃したが、最後の挑戦で4年越しのリベンジを期し、その後は小さいころからの夢だった医師への道を志す決意だ。

レメキも参戦、前回はNZから大金星

力強い突破が魅力のトライゲッター、ニュージーランド生まれのWTBレメキ・ロマノラバも7人制ラグビーで前回のリオ五輪代表だ。2009年に来日してキヤノン、マツダ、ホンダでプレー。スペースが広く、1対1の要素が強い7人制でリオ五輪4位の原動力となり、その年の秋に15人制で初キャップと新たな夢をつかんだ。

リオ五輪では1次リーグで7人制のオールブラックス(ニュージーランドの愛称)から14-12で大金星を挙げるなど日本は快進撃を見せた。

東京五輪で究極の目標である金メダル獲得を実現させるため、福岡とレメキ以外のW杯戦士も7人制に参戦する可能性が出ているという。

スピード生きる松島にも待望論

今大会、福岡とともに「快足フェラーリ」コンビとして5トライを量産したWTB松島幸太朗にも関係者から待望論が出ている。15人制との兼ね合いもあり、現実的には厳しい見方もあるが、その圧倒的なスピードと突破力はスペースが広い7人制でより生きてくるだろう。

南アフリカの右WTBチェスリン・コルビは170センチとひときわ小柄ながら今大会のスター候補でW杯最高峰のトライゲッターと注目されているが、7人制でもリオ五輪の銅メダルに貢献した。世界を沸かせた福岡、松島の「フェラーリ」コンビが五輪で再結成されれば日本への期待はさらに高まり、南アフリカとの因縁めいた対決も楽しみになる。

リオ五輪はフィジーが金メダル

五輪でのラグビーの歴史を振り返ると、1900年パリ大会、1908年ロンドン大会、1920年アントワープ大会、1924年パリ大会で15人制ラグビーが実施され、長いブランクを経て2016年リオ大会で7人制として復活した経緯がある。女子ラグビーはリオ大会で初めて実施された。

7人制は15人制と同じ広さのグラウンドを使用し、ルールもほぼ同じ。FW3人、バックス4人で構成し、スクラムは3人同士で組む。大会では1日に複数試合をこなすことが基本。試合時間は7分ハーフで、リオ五輪では3位決定戦と決勝は10分ハーフで行われた。

15人制ほどポジションの役割が明確になく、一人一人の瞬時の判断で攻守が入れ替わり、各国のスピード自慢の選手が多いのも7人制の特徴だ。

五輪で初実施されたリオ大会ではフィジーがスピードと即興性にあふれた「マジック」と称さるプレーを随所に見せ、フィジー初の歴史的な金メダルを獲得した。2位は英国だった。日本も五輪で新たなラグビーの歴史を刻めるチャンスは十分にありそうだ。

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