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ラグビーの基本用語とルール、反則を解説、いざワールドカップフランス大会へ

2023 8/18 11:00田村崇仁
ラグビー日本代表,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

4年前は「ワンチーム」が流行語に

9月8日開幕のラグビー・ワールドカップ(W杯)フランス大会に臨む日本代表メンバーが8月15日、発表された。

4年前の2019年日本大会は史上初めて8強入りし、ファンの熱狂とともにスローガンの「ワンチーム」が流行語になった。今大会は「Our Team(私たちのチーム)」を旗印に、前回大会を超える成績を狙う。

1次リーグは20チームが4組に分かれ、D組の日本は9月10日にチリ、9月17日に前回準優勝のイングランド、9月28日にサモア、10月8日に南米の強豪アルゼンチンと戦う。

五輪、サッカーW杯に次ぐ世界3大スポーツイベントといわれるラグビーW杯だが、勝負を分ける基本用語やルールが難解でわかりにくいという声もまだある。いまさら聞けない基本用語をおさらいすれば、さらにラグビーを楽しめそうだ。

主な基本用語

【ジャッカル】
タックルで倒された選手から防御側の選手がボールを奪うプレー。日本代表の新主将に指名された姫野和樹の得意技でもある。激しい密集戦の中でボールを奪い取る姿が猛獣のジャッカルが獲物に襲いかかる姿に似ていることから名付けられたとされる。

【TMO】
「テレビジョン・マッチ・オフィシャル」の略で、ラグビーにおけるビデオ判定。危険なプレーや、トライの判定が微妙な時に映像で確認する。主審が手で四角を描くのが合図。密集状態でのトライやタッチライン際の判定でも検証される。

【オフロードパス】
ボール保持者がタックルされながら味方につなぐパス。強いフィジカルやパス技術が求められ、成功すれば好機が広がる。日本も前回大会で有効だった。王国ニュージーランドやフィジー、フランスが得意。パスにはボールを回転させてスピードと飛距離を伸ばすスクリューパス、背中越しに投げるバックフリックパス、足技を使うキックパスなどもある。

【認定トライ】
相手の反則がなければトライになったとレフェリーが判断した場合、7点が与えられる。通常のトライは5点。トライ後にその地点の真後ろからキックでゴールポストの間を通せばコンバージョンゴールで2点。相手の反則でその地点から蹴るペナルティーゴール(PG)は3点。ボールを一度地面にバウンドさせて蹴るゴールはドロップゴールと呼ばれて3点。

【ブレイクダウン】
ラグビーの醍醐味であるタックル後のボール争奪戦。地面のボールを奪い合うラック、ボールを持った状態で立ちながら押し合うモールの総称。ラックが敵味方1人ずつで組み合えば基本成立するのと違い、モールの場合は最少でも3人必要。モールの状態で相手を押し込んでいくプレーは「ドライビングモール」と呼ばれる。

【ハンドオフ】
ボール保持者が手のひらを使って相手を払いのけようとするラグビー独特のプレー。

【アドバンテージ】
反則発生時、プレーを継続した方が地域的、状況的に反則をしていないチームに有利になると主審が判断した場合、プレーを止めずに続行させるルール。その後、反則されたチームが不利になると遡って反則を適用する。

【アンストラクチャー】
チームの陣形が整っていない状態。ミスが生じたときに生まれやすく、攻撃側は攻めやすい。セットプレーで陣形が整っているのとは対照的な形。

【スクラム】
試合再開のセットプレー。15人制ではFWの選手たちが8人対8人で押し合い、ボールを奪取する代表的プレー。パスやキックを使って突破を図るバックスは7人で構成される。レフェリーのコール「クラウチ」で腰を落とし、「バインド」で相手をつかんで組み合い、「セット」でスクラムが始まる。

【ラインアウト】
ボールがタッチラインから外側に出た場合に再開する方法。攻撃の起点となる重要なFWのプレーでもあり、次の展開につなげるサインプレーも多い。1メートル離れて2列に並んだ両チームの選手の間にボールを投げ入れる。日本はフッカーの坂手淳史や堀江翔太がキーマンになりそうだ。

【ハイパント】
滞空時問の長い、高く蹴り上げるキック。スクラムハーフやスタンドオフ、フルバックなどが試合中に使うケースが多い。陣地の前進を図ることもあれば、空中戦を制してボールの再獲得を狙う戦術もある。

【ターンオーバー】
防御側が攻撃側のボールを奪い、攻守が入れ替わる展開のこと。すぐに守備陣形が整わないため、素早く攻めるとトライが生まれやすくなる。

主な反則

【ハイタックル】
相手の肩の線より上へのタックル。頭部や首への接触は危険なため、重い反則となる。7月22日のテストマッチ、サモア戦ではリーチ・マイケルが代表戦で自身初のレッドカードを受けて一発退場に。近年は深刻なけがや脳振とうが増加しており、反則が厳しく取られる傾向にある。

【ノックオン】
ボールを前に落としてしまうこと。相手ボールのスクラムで再開。

【スローフォワード】
ボールを前にパスしてしまう反則。相手のスクラムで試合再開。

【ノットリリースザボール】
タックルされた選手がボールを離さない反則。相手にペナルティーキックが与えられる。

【ノットロールアウェイ】
タックルした選手らが倒れたままボールから離れず、プレーの妨害をした場合に取られる反則。相手にペナルティーキックが与えられる。

【オーバーザトップ】
モールやラックの密集戦で相手側に倒れ込み、ボールが出るのを妨げる反則。

【コラプシング】
スクラムやモールを意図的に崩す行為。危険を伴うこともあるためペナルティーを与えられる。

【オフサイド】
ボール保持者より前にいる味方選手はプレーに関与できない。相手チームにペナルティキックが与えられる。

【シンビン】
悪質な反則や危険なプレーをした選手にイエローカードを出し、10分間の一時退場とすること。英語で「罪の箱」の意味。さらに悪質な場合はレッドカードで一発退場。

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