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ラグビーフランス代表を本気にさせたジャパンの進化、手に汗握るラスト5分に成長を見た!

2022 7/12 06:00江良与一
フランス戦で突進する山中亮平,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

バックスリーの活躍が光った前半

7月9日に国立競技場で行われたラグビー日本代表(以下ジャパン)とフランス代表のテストマッチ第2戦は15-20でフランスが勝利した。ジャパンは格上フランスに2連敗に終わったが、第2戦は「惜敗」という言葉がピッタリの内容だった。あと一歩というプレーが続いた最後の5分間は選手にもファンにも悔しさとともに大いなる希望をもたらした。

実力が拮抗したチーム同士の対戦ではHB団やCTBの仕掛けだけでは、ディフェンスを突破してトライを挙げることは難しい。それゆえ両WTBにFBを加えた、いわゆるバックスリーの選手がいかに攻撃に参加し、相手ディフェンスをかき乱せるかが勝負になる。

ジャパンが挙げた最初のトライは前半12分だった。まず相手のキックをキャッチした右WTBゲラード・ファンデンフィーファー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)がFB山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)にパスした。

その後すぐにフォローに走り、ボールが左CTB中野将伍(東京サントリーサンゴリアス、以下東京SG)、左WTBシオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ)、右CTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ、以下埼玉WK)と渡る間に、逆サイドのライン際まで走ってパスを受けたことが決め手となり、最後は山中がインゴールに飛び込んだ。

フランスが誇る「シャンパンラグビー」のお株を奪うような見事なカウンターアタック。チームとしての成熟度が決して高いとは言えない状況下で、ミスなく球をつなぎトライにまで結びつけたことが大きい。バックスリーのカウンターアタックは攻撃力の強化策の一つとして今後特化していくべきポイントである。

特にこの日はフィフィタの存在が目立っていた。攻撃でラインブレイクを何度か果たしたほか、マイボールキックオフでも俊足とパワーを活かした鋭いタックルを相手FWに見舞い、見事にひっくり返す場面も見られた。

ただパスされたボールを持って走るだけでなく、積極的にコンタクトプレーにも絡んでいく姿勢は、ライバルの多いWTBというポジションをつかもうとするフィフィタの必死さの表れだろう。こうした必死さがチーム全体の士気を挙げていくという効果も見逃せない。

フィフィタに引っ張られたせいだろうか、この日のBK陣は1対1という場面を作られても、見事なタックルで攻撃を寸断していた。

反省点はミスの多さ

前半はデイフェンスマークのズレで奪われた先制トライ以外はほとんどミスらしいミスはなかった。15-7でリードして折り返すという結果をもたらしたのはこのミスの少なさである。相手が格上であってもミスが少なければ十分に勝負できるだけの実力を今のジャパンは備えている。

後半はフランスが「本気」を出し、一つ一つのプレーのプレッシャーがキツくなったせいもあって、ノックオンや被ジャッカル、密集での反則などのミスが目立ち始めた。ミスは相手にボールの支配権を渡してしまうとともに、味方の士気を下げることにもつながる。またゴールに近い位置での反則はペナルティーゴール(以下PG)で相手に点を与えてしまうことにもなる。

実際後半は2本のPGを決められて15-12とじわじわ点差を縮められる展開となった。この展開が与えた精神的な疲労が最後の5分間で何度も決定的なチャンスをつかみながら最後の最後で決めきれなかったことにつながったようにも思える。

後半、両チームを通じての唯一のトライは31分にフランスがマイボールスクラムを押し込んでFW第3列をスクラムに釘付けにすることにより、スクラムサイドに大きく開いた穴を、途中出場のSHパティスト・クイユーが突いて挙げた。

得意のBK攻撃もキックからの状況の打開も出来ないと見て取ったフランスが、なりふり構わず力押しの勝負に出て挙げたトライだ。ここはレベルの高い国際試合経験の豊富さに裏打ちされたフランスの「勝負勘」を称えるほかないだろう。

最後の5分間で見せたチームとしての成長

今までのジャパンならこのスクラムからのトライで、矢尽き刀折れといった気持ちに襲われて、一気に大敗してしまっていただろう。しかし、この日はここから驚異的な粘りを見せ、終了の笛が鳴るまでフランスゴールに迫り続けた。むしろ、力任せのプレーでトライを取ったフランスの方が精も根も尽き果てた状態で防戦一方となった。

特に、一旦はトライと判定されたもののTMOの結果インゴールノックオンを取られてしまったテビタ・タタフ(東京SG)の破壊力十分なランは今後の飛躍を感じさせた。タタフはまた終了間際にもあと一歩でトライというプレーを見せた。

田村優(横浜キヤノンイーグルス)との意思疎通がうまくいかず、ランのコースがかぶってしまいパスを受けられなかったが、それこそあと数十センチ、コースを変えていたら日仏戦の歴史を変えていた可能性は大いにあった。

夏のテストマッチはこの試合をもって終了。秋にはフランスとの3戦目のほか、来年のW杯予選プールで対戦するイングランドとの対戦も控えている。優勝を狙うフランスを「本気」にさせたジャパンが半年でどこまで課題を克服し、成長を遂げられるのか。俄然期待が高まってきた。

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