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なぜなの?ラグビー日本代表に外国人が多い理由

2016 10/17 19:21
ラグビー
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Photo by wavebreakmedia / Shutterstock.com

ラグビーのワールドカップを見て、代表選手に外国人が多いことに驚いたことはないだろうか?ラグビーの代表資格について紹介する。

ラグビーの国際ルールについて

ラグビー日本代表選手の中に外国人選手が沢山いることを不思議に思った方も多いと思う。他のスポーツでも外国出身の選手が日本の国籍を取得して代表になって活躍しているが、ラグビーは日本国籍を持っていない外国人選手も条件に1つでも当てはまれば、日本代表になることができる。

1.その国(地域)で本人が生まれた。
2.両親または祖父母の内の一人がその国(地域)で生まれた。
3.本人が36カ月以上継続してその国(地域)に居住している。

よって、日本ばかりでなく他の国にも、外国人の代表選手がいるのだ。

ラグビーの歴史的な背景

代表資格がなぜこのようになったのか諸説あるが、一説としてラグビーの発祥からの歴史をふまえて紹介する。

元々ラグビーはイギリスで始まり、世界各地に広まった。イギリスの植民地だった国、関係の深かった国にも、イギリス人から伝えられ、オーストラリアやニュージーランドではラグビーが盛んになった。

当然、広まった当初はイギリス人が代表の中心だったため、国籍で代表を選ぶと力が偏ってしまう。そこで、その国(地域)でプレーする選手から代表を選ぶことになり、国際ルールとなった。

その国(地域)のためにのみ戦うのが代表選手

ラグビーの代表資格の条件について、先に触れたが、もう1つ条件がある。「ある国で代表選手に選ばれたら、他の国の代表にはなれない」というものだ。

つまり、日本代表として選ばれた外国人選手たちは、チャンスがあっても自分の国の代表にはなれない。母国の代表になることを捨て、日本の代表として覚悟を決めて、戦ってくれているのだ。

国籍に関係なく、その国(地域)のために心を1つに。「一人はみんなのために、みんなは一人のために(One for all All for one)」の精神を感じる。

リオからオリンピック初の7人制ラグビー イギリスも1つのチームに

2016年に開催されるリオデジャネイロ五輪で7人制ラグビーが初めて実施されることになった。

イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4地域から構成されており、それぞれの代表がラグビーワールドカップにも出場しているが、オリンピックは国籍で戦うため、リオ五輪では4つの地域を超えてイギリス国籍の選手の中から、イギリス代表が選ばれる。

6月までは本来の地域に分かれたまま活動し、7月に12人の最終メンバーが決まる。

1度だけ代表チームの変更可能に

2016年のリオデジャネイロ五輪から7人制ラグビーが正式種目になり、代表資格が新たにひとつ加わった。他国で代表になった選手でも、1度だけ代表チームを変更できるようになったのだ。

現在、日本で活躍中のティム・ナナイ・ウィリアムズ(リコーブラックラムズ所属)は、サモア代表としてこの新ルールを適用している。4年に1度のオリンピックで、母国の代表としてきっと活躍することだろう。ラグビーは多様性をもつグローバルなスポーツといえる。

ラグビーは荒々しくぶつかり合い、肉体を酷使する一方で、仲間や相手チームを尊重し、国籍や民族に関係なく心を1つにプレーする潔さや温かさが根底にある。それが世界中で愛される理由だろう。