大きすぎる第一歩、プロレスの聖地”MSG”での初興行
日本のプロレス界も遂にここまで来たか。
いまだかつてない歴史的な一歩を、新日本プロレスは踏み出そうとしている。
舞台はマディソン・スクエア・ガーデン。「格闘技の殿堂」と呼ばれる会場で、新日本プロレスは海外のプロレス団体、ROHとの合同興行「G1 SUPERCARD」を開催する。
日本のプロレス団体ではどこも成し遂げておらず、今後語り継がれる興行になることは間違いない。今回、この大会の対戦カードの見どころを解説しながら、本大会の楽しみ方を伝えていきたい。
サプライズがあるかも!?楽しみな"第0試合"
本大会は第0試合から目が離せない。
「1分時間差バトルロイヤル~HONORランボー~」は出場選手30選手によって行われる試合である。出場する選手は、獣神サンダー・ライガー以外発表されておらず、誰が出てくるかわからないサプライズ満載の試合だ。
1分ごとにレスラーが入場していき、敗れた者から退場していく。そして、最後までリングに上がっていたものが勝者となる試合形式だ。(ランブル戦は、トップロープを越えて場外に出されても退場になる)
この試合で楽しみなのは「サプライズ」だ。東京ドーム大会で行われた「ニュージャパン・ランボー」や、本家WWEでの「ロイヤルランブル」でも、毎回サプライズ枠が用意されており、観客を大いに驚かせている。
例えば、2018年のニュージャパン・ランボーでは、悪性リンパ腫により闘病中だった元・UWFの垣原賢人が登場し、勝ち残った。ケガで長期欠場中の高山善廣にエールを送り、観客を沸かせた。また、2016年WWEでのロイヤルランブルでは、新日本プロレスを退団したベテランレスラー AJスタイルズがサプライズで入場し、会場は熱狂した。
一つのリングの上で、大勢のレスラーが戦う姿は圧巻である。プロレスを知らない方でも、ランブルマッチは十分に楽しめるため、第0試合から観戦することをおすすめする。
お互いの全力を見せられるか 棚橋VSザックのベルトをかけた戦い!
新日本プロレスのエースが、初めて「参った」をした相手がいる。それが「英国の若き匠」「サブミッションマスター」のザックセイバーJrだ。
昨年のニュージャパンカップで優勝、棚橋を関節地獄で攻め続け、棚橋からタップを奪っての優勝という快挙を打ち立てた。
しかし、今年のニュージャパンカップでは棚橋に丸め込み技で負けてしまう失態を犯してしまう。
その雪辱を晴らすべく、自身の持つブリティッシュヘビー級選手権の相手に棚橋を指名。
前回の試合では、お互いにフィニッシュホールドを使っておらず、消化不良のまま終わってしまったことから、この一戦にかける意気込みは計り知れない。
「今度こそ棚橋を潰す」と意気込むザック。棚橋は再び3カウントを奪い、ベルトを奪還することができるのか。
ニュージャパンカップ今年度覇者・オカダは5度目の王座奪還なるか
メインイベントは、オカダ・カズチカVSジェイ・ホワイトのIWGPヘビー級選手権試合だ。
オカダはベルトを失っても、その強さに衰えはない。今年度のニュージャパンカップで、実力も人気も上昇中のSANADAを下して優勝。ジェイの渾身のマイクにも、笑顔で対応し、絶対的な自信と勢いが見られる。
オカダがインタビューで、本大会を「新日本というよりも、日本のエンターテイメント界にとって意味のあること」と言い、MSGで新日本プロレスのすごさを見せたいと意気込んでいる。
ジェイには過去2回負けており、今回も敗れれば3連敗という屈辱を味わうことになる。
しかし、今大会でオカダが勝てば、5度目のIWGP王者に輝くことになり、自身初の国外でのベルト奪還となる。どちらに転ぶかは、リングの上でしか分からない。
新日本プロレスに君臨する強さの象徴、オカダがMSGで新日本プロレスの底力を見せられるのか。
はたまた、NEW ERA(新時代)と自負するジェイが再び返り討ちにするのか。
新日本プロレス最高峰のIWGPのベルトをかけ、新日本プロレスのトップ同士が相まみえるこの試合は、後世に残る一戦となること間違いなしだ。
今までではなく”これから”の新日本を見せられるか
選手の大量離脱もあり、新日本プロレスは窮地に立たされている。しかし、新日本プロレスにはまだまだ世界の団体が目を離せない精鋭がそろっている。
「大切なのは、今まで何をしてきたかでなく、これから何をするか」と、新しい挑戦の場を求めて巣立ったKUSHIDAは言った。まさに、今の新日本プロレスにとってもふさわしい言葉ではないか。
今回の歴史的な大会は、今後の新日本プロレスの行き先を大きく変えるであろう。
新日本プロレスワールドでは、4月7日(日)の試合当日、午前7:30からライブ配信。全国映画館でも、ライブビューイングを開催する予定である。プロレスファンも、これからプロレスを好きになる人も、伝説になるであろう大会をぜひ目の当たりにしていただきたい。
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