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新日本プロレスヒール軍に紛争勃発、今後の展開にも期待高まる

2018 11/4 15:00鈴木善勝
リングⒸShutterstock.com
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内乱!裏切り!新日本プロレスヒール軍紛争勃発

現在、新日本プロレスでは、3種類のヒールユニットが存在する。オカダカズチカ率いる「CHAOS」と、ケニーオメガ率いる「BULLET CLUB ELITE」。そして、新たにジェイ・ホワイトがメンバーに加入したタマ・トンガ達が率いる「BULLET CLUB OG」だ。

今、そのユニット内で紛争が勃発し、大きな変革が起ころうとしている。それぞれのユニットの置かれている状況、及び所属するレスラー達の紹介とともに、各ヒールユニットの将来について伝えていきたい。

ヒールでありながら、コミカルな一面を見せる「CHAOS」

2009年から続く新日本プロレスの代表的なヒールユニット「CHAOS」。初代リーダーはWWEで活躍する中邑真輔だったが、現在は現役ナンバー1と言っても過言ではないオカダカズチカが事実上リーダーを務めている。

以前はヒール色が強かったが、現在は各レスラーのクリーンな戦い方や白熱した試合展開からか、その色も薄れている。所属レスラー達のコミカルな一面もあり、ブーイングよりも声援が多いユニットだ。

しかし、現在のCHAOSは破滅の危機にある。海外遠征帰国後から、ユニットに参加していたジェイ・ホワイト、そしてCHAOS結成時から参加する邪道、外道の裏切りである。特にオカダと長い間、苦楽を共にした外道が離脱したことは、大きな波紋を呼んだ。

裏切った3人が新たに選んだ場所。それは現在のCHAOSにはないヒールの存在と、本来の意味を見出す場所だった。

反則、ルール無視、やりたい放題の"オリジナル"「BULLET CLUB OG」

世界的に名を轟かすヒールユニット「BULLET CLUB」。現在、その勢力は二分されている。

「本来あるべき姿」を追及し、ヒールの限りを尽くす集団が「BULLET CLUB OG」だ。アメリカ・サンフランシスコにて行われた興行「G1SPECIAL」で、タマ・トンガ、タンガ・ロア兄弟がリーダーの座をかけた内乱状態に反旗を翻した。その場で、リーダー格のケニー・オメガを襲撃し、誕生したのがこの集団だ。

ケニー・オメガが飯伏幸太と和解したことにより、BULLET CLUBは少しずつ絶対的なヒールユニットとしての地位が薄れていた。それよりも、かつてのリーダー達が貫いてきた「悪」としてのBULLET CLUBを取り戻すことが彼らの目的である。

夏に行われた「G1クライマックス」では、参加していたOGの試合のほとんどが介入による反則負けだった。出場停止などの処分が下されたところで、「休暇が増える」と気にするつもりもない。全ては「BULLET CLUBをあるべき姿に戻す」のみ。

そして、そのOGの面々から決別し、新たな飛躍をするもう一つのBULLET CLUBが"ELITE"である。

飯伏幸太も?輝かしい功績を残している選民達 BULLET CLUB ELITE

ケニー、Codyのリーダー争いが収まり、OGの分裂から生まれたのがELITEだ。ケニーオメガ、Cody、ヤングバックスなどの、新日本プロレスのベルトに関わってきた面々が所属。ケニーはIWGP王座、CodyはUSヘビー王座。現在、ヤングバックスの二人はタッグベルトを落としているが、長きに渡りタッグベルトを所持していた。

強さだけでなく人気も上々であり、ケニー&飯伏(飯伏はBULLET CLUBに所属していないが、ケニーとの因果もありメンバーと一緒に戦うことが多くなっている)のゴールデン☆ラヴァーズは絶大な支持を得ている。しかし、それだけではELITEの凄さを語れない。

Codyとヤングバックス(ニック・ジャクソン&マット・ジャクソン)は、シカゴでの興行「ALL IN」を大成功に導いた張本人達だ。「ROH(海外プロレス団体、新日本プロレスと関わりのある団体)で1万人規模の興行は完売出来ない」と言う記者の言葉を受け、それを実現させる為に自費による興行をプロデュース。

興行は満席で、今までWWEが独占していた海外プロレス市場に大きな変革をもたらした。強さもあり、人気もある。誰もがうらやむようなスペックの持ち主である彼らは、まさにエリートと言っても過言ではない。

動き続けるヒール軍の波…今後の展開は?

ジェイ・ホワイトらが加入し、発展の余地があるOGだが、ファン達の間では「何がしたいのかわからない」などの批判が多い。無論、悪に理由などなく、非道の限りを尽くせればいいのかもしれないが、本来のカリスマ的なユニットを目指すのならば、より個々にレスラー達の主張を強めていく必要がある。

発言や主張のないレスラーは、ただ試合をこなしているだけだ。今後、彼らがどう動いていくのかは読めないが、ジェイ達の加入により新たな発展があることを期待したい。

また、オカダ率いるCHAOSは、YOSHI‐HASHI・ウィル・オスプレイのケガによる欠場やジェイらの裏切りにより、辛い時期を迎えている。まだまだ矢野や後藤などのメンバーは残っているが、ジェイはバックステージで「裏切り者はまだいる」と言っており、ユニット内は混沌としている。

このまま終わりを告げるのか、はたまた新たな動きを見せるのか。長きに渡り続く歴史あるヒールユニットだからこそ、新たな展開が期待される。

何より話題に上がるのがELITEの面々だ。自主興行を成功させたことはさすがといったところだが、その張本人達の活動は海外がメインになりつつある。「ELITEのメンバーはWWEに行くのでは?」などとファン達の間でもうわさが飛び交っている。

確かに、契約も来年の1月に更新するようなので、活動を海外に移すタイミングとしては合っている。しかしその場合、「ケニーとともに活動をする飯伏は?」「新日本のメインを張れる存在は?」など、さまざまな疑問が浮き彫りになる。

プロレスにとってヒールの存在は重要。しかし、このように度重なる変革や体制の変化にファンの期待が高まる一方で、不安視する声もあがっている。今後どのような変革や因縁が生まれ新たなストーリーが展開するのか、また展望はどうなるかを予測するのも楽しみ方の一つだろう。