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親友であり宿敵 飯伏幸太 vs. ケニー・オメガ 6年ぶりのシングルマッチ!

2018 8/10 07:00SPAIA編集部
プロレスリング,ⒸShutterstock.com
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タッグパートナーであり、最大のライバル。「ゴールデン☆ラヴァーズ」6年ぶりのシングルマッチ!

長いプロレスの歴史の中で、ライバル関係であるレスラーは数多くいた。タイガーマスクとダイナマイトキッド、長州と藤波、そして猪木と馬場。同じ時代に生まれた二人が、プロレス界で火花を散らし、観客に大きな感動を与えている。

現代プロレスでも同様だ。同じ時代に生まれてきてしまったがゆえに、友であっても拳を交わさないといけない宿命の相手がいる。現在、「プロレス業界で最も長く過酷なリーグ戦」と言われるG1クライマックスが開催されているが、8月11日の日本武道館大会で注目の対戦カードがある。

飯伏幸太 vs. ケニー・オメガ

プロレス界におけるビックネームであり、親友、タッグパートナー、そして最大のライバルである飯伏とケニー。インディ団体時代から共にしのぎを削ってきた両者が、日本プロレス界最大のリーグ戦にて、再び相まみえる。シングルマッチでの対戦は、DDTプロレスリング「武道館ピーターパン~DDTの15周年、ドーンと見せます超豪華4時間SP!~」日本武道館大会から数え、実に6年ぶりとなる。

かつて、ネットプロレス大賞も受賞した名カード。この歴史的対戦の前に、両者の歩みと試合の見どころを解説していきたい。

共に過ごしたインディ団体時代

彼らの出会いは、2008年に遡る。DDTプロレスリング主催、DDT闘うビアガーデン(観客席にビアガーデンスタイルで観戦してもらう興行)にて、飯伏とこのとき初来日したケニーは、路上とリング上でそれぞれ1本先取した方が勝ちという変則ルールにおいて壮絶な闘いを繰り広げた。その試合から二人は意気投合し、翌年1月より「ゴールデン☆ラヴァーズ」としてタッグを結成。並外れた運動神経と、息のあった連携などで観客を沸かせ、人気を博していく。

しかし、2010年に新日本プロレスに活動の幅を広げてから、二人は別々の道へと歩み出していくことになる。ケニーはベビーからヒールに転身、ヒールユニット「バレットクラブ」のリーダーとして、新日本プロレスのリングで闘い続けた。

かつてバレットクラブを支えた名レスラー達(プリンス・デヴィット、AJスタイルズなど)は、世界最大プロレス団体「WWE」に移籍してしまい、バレットクラブを支えるには身を粉にして闘う必要があった。ヤング・バックスらの力も借り、ヒールでありながら絶対的な人気を博し、現在はIWGPヘビー級チャンピオンの座に輝いている。

一方、飯伏幸太は新日本プロレスを退団し、個人事務所「飯伏プロレス研究所」を立ち上げる。よりプロレスというスポーツを研究するために、彼は世界中を回った。WWEの主催するクルーザー級トーナメント「CWC」では、アメリカのファン達を大いに沸かせることに成功する。だが、WWEでの長期活動は彼自身から断った。それも、彼自身の追及するプロレスを見出すためであり、飯伏らしい選択だった。

そして、彼は親友であるケニーが頂点に君臨する新日本プロレスに戻ってきた。2018年1月28日に行われた新日本プロレス北海道大会のメインイベントで、ジェイ・ホワイトに敗れたケニーがCodyやハングマン・ペイジから制裁を受けそうになった場面で、飯伏がケニーを救出。それがきっかけで、正式にゴールデン☆ラヴァーズは復活を遂げた。

若さや勢いだけではない、「進化」した二人。

6年前、二人が試合をした会場は日本武道館だった。8月11日のG1クライマックスで二人が対戦するのも日本武道館だ。

かつての二人は純粋にプロレスを追及する姿勢から、観客を盛り上げるべく斬新かつ危険な攻防を繰り広げた。現在の二人は様々な試合を経験し、世界を見てきた。6年前の両者とはプロレススキルも精神的な部分も変化している。

一方で、ゴールデン☆ラヴァーズが復活したことにより、ケニーの所属しているバレットクラブでは内部抗争が繰り広げられていた。リーダーのケニーとリーダーになりたいCody。両者は幾度となく拳を交わし、バレットクラブとしての方向性を確かめ合いながら、7月7日新日本プロレスサンフランシスコ興行を機に、完全和解。そのため、今回の試合のどこかで、ケニーが飯伏を襲撃し、裏切る可能性も十分に考えられる。

プロレスというスポーツは、一筋縄ではない。だからこそ、魅力あふれるストーリーとドラマがリングの上で花を咲かすのだろう。名勝負になることは間違いなく、今後の新日本プロレスのストーリーが動き出す鍵となる一戦である。二人の友情と、新日本プロレスの今後を、是非自らの目で確かめていただきたい。