「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【スポーツ×IT】データスタジアム×SPAIA座談会 スポーツビジネス新時代―データとAIの新しい活用方法―①

2018 3/30 19:08藤本敏史
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(右から)データスタジアム株式会社 取締役 執行役員の松元繁氏、同ベースボール事業部の田上健一氏、グラッドキューブ代表 取締役 CEOの金島弘樹氏ⒸSPAIA

座談会参加者

  • データスタジアム株式会社 取締役 執行役員 松元繁氏
  • データスタジアム株式会社 ベースボール事業部 田上健一氏
  • 株式会社グラッドキューブ 代表取締役 CEO 金島弘樹氏

 

今回は新しいシリーズ、「スポーツ×IT」について、日本でのデータ収集や分析ビジネスのパイオニアであるデータスタジアム株式会社の松元氏、田上氏と本サイトを運営する金島氏に「データとAI の新しい活用方法」をテーマにお話を伺った。その模様をご覧いただきたい。

―選手の引退後の職業と言えば、指導者という仕事が思い浮かびます。しかし、松元さんと田上さんはデータを扱うスポーツビジネスの企業へ入社されました。なぜ、入社されたのか、きっかけを教えてください。

松元:私はこの会社に入る前は、プロ野球選手でした。引退することを決めて、チームに残るか残らないかを判断するときに、外の世界を見てみたいという思いがありました。
とは言っても、それまでのスポーツキャリアを活かせる職業が良いとも考えていました。
私としては、スポーツビジネスを絶対に行いたいというよりも、チームの現場ではないところで働くことを第一に考えて、この会社を選びました。

田上:私の場合は、選手を引退した後に、スコアラーでチームに残りました。
その中で、ITというものが、チームの戦略に欠かせないものになっていると感じていました。例えば、プロ野球では今年からトラックマンが本格的に各球団へ導入されます。また、ファンの方々に対しても、データを楽しんでもらう時代になっています。
これからは野球に関わらず、他のスポーツでも多角的にデータを活用する時代になってきています。そのような時代の流れで、チーム現場ではなく、広い視野でスポーツ界に貢献したいと考え、入社を決めました。

―入社されたデータスタジアムさんでは、データを商品として、ビジネスを展開されています。しかし、日本ではデータの重要性やデータをビジネスとすることが浸透していない感じを受けます。そのような現状についてどのようにお考えですか?

松元:私が入社したときにはプロスポーツチームへデータを提供するサービスと、ファンに楽しんでもらうデータをマスメディアへ提供するサービスの原型はできていました。
最初は、プロ野球から始まりました。元々、スコアラーが取っていた手書きのデータをシステム化していき、マーケットを広げていきました。そして、他の競技などにも広げ、競技者やチームにとって、データが無くてはならないものになってきました。
しかし、現在、弊社の課題としては、ファンや一般の方々にデータを面白いと思って頂ける環境やサービスをより一層、強化しなければならないと考えています。

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ⒸSPAIA


例えば、プロスポーツチームは細かいデータを渡しても、スコアラーや分析担当の専門部署が分析し、価値あるものにしてくれますが、一般の方々はそうでありません。
SPAIAさんと事業を進めている事例もそうですが、料理でいうと材料をそのまま提供するのではなく、調理してより美味しく感じてもらうことが重要となっています。

―SPAIAでもデータスタジアムさんと連携し、データ分析などを行っています。
サイトを運営する側としてデータの重要性をどのようにお考えですか?

金島:この2,3年で、少しずつ日本のファンもデータを楽しむようになってきているのではないでしょうか。今までは、簡単なデータ、打率や本塁打で日本のファンは楽しんでいました。しかし、今は客観的なデータ、例えばセイバーメトリクスで出された数字で選手の推定年俸を評価し、マニアックに楽しんでいるファンが増えてきています。
間違いなくスポーツ×ITやデータの時代になってきており、1ファンとしても1事業者としても、その流れをしっかりと読んでいかなければならないと考えています。

―そのような流れがある中で、SPAIAはどのように他のサイトと差別化をし、充実を図っていくのか、戦略を教えてください。

金島:これからスポーツに関するデータを掲載するサイトは増えていくと思っています。
しかし、SPAIAはただ単なるデータのプラットフォームではないと考えています。人工知能や機械学習を使って、試合や選手の能力を、次の展開を予想していくことにシフトしていきたいと思っています。だからこそ、野球だけではなくサッカー、バスケ、そして競馬などにも応用できると考えています。
また、ユーザー数が増えてくると、スポーツ用品やグッズ、健康食品やサプリメントなどをサイトで販売することやスポーツ関連施設とチームを連携させるビジネスマッチング事業もできると思っています。ゆえに、単なるスポーツサイトを作りたいのではなく、スポーツを媒体としたビジネスのプラットフォームを創り上げていきたいと考えており、そこで差別化ができると考えています。

松元:私たちとしても、今までのファン向けのサービスと言えば、マニアックなデータを提供するサービスに比重をおいていました。
しかし、ライトなファン層の方々にも喜んでもらえるサービスを提供していきたいと考えています。そのような弊社の現状から、SPAIAさんとお仕事をする意義は高いと考えています。
先ほど、AIのお話が出てきましたが、このような最新の技術を活かして、ライト層の方々に楽しんでいただけるかを、一緒に考えていければと思っていますし、期待もしています。

次回は、スポーツ×ITを駆使したライト層への具体的な提案、そして、スポーツ界を担う人材について熱く議論を行う。

【スポーツ×IT】データスタジアム×SPAIA座談会 スポーツビジネス新時代―データとAIの新しい活用方法―②