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五輪チケット払い戻しOK、課題は観戦ツアーチケットや2歳未満の幼児か

2020 4/7 17:00田村崇仁
イメージ画像ⒸKathy Matsunami/Shutterstock.com
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ⒸKathy Matsunami/Shutterstock.com

五輪約448万枚、パラリンピック約97万枚販売済み

今夏に迫っていた東京五輪・パラリンピックの1年延期が決まった。新たな日程は五輪が2021年7月23日~8月8日、パラリンピックは8月24日~9月5日まで。史上初の事態で選手選考や追加コスト、会場確保、ボランティアなどさまざまな課題が山積みだが、国民にとって気になるのが大人気で高倍率となった観戦チケットの取り扱いだろう。

大会組織委員会は3月30日、既に購入済みのチケットは延期された新たな日程でも使用可能な「有効」とする方針を示し、延期に伴って来場が難しくなった場合も希望者には払い戻しにも応じることを明らかにした。

組織委はこれまで公式サイトを通じて、五輪は約448万枚、パラは約97万枚のチケットを販売済み。ただしチケットをどのように有効とするのか、具体的な払い戻し方法などはこれからだ。

今春の店頭販売は五輪パラとも取りやめ

大会延期により、五輪チケットで4月28日~5月7日、パラチケットは5月22日~28日でそれぞれ予定していた整理券による店頭販売もいったん取りやめる予定だ。これははがきによる抽選で当選した人が対象で、新日程を受けて販売スケジュールを組み直す。

組織委は個別競技の延期ケースは想定していたが、大会全体の延期まではルールで定めていなかった。規約の第46条(不可抗力)には「当法人が東京2020チケット規約に定められた義務を履行できなかった場合に、その原因が不可抗力による場合には、当法人はその不履行について責任を負いません」とある。

「不可抗力」とは「天災、戦争、暴動、反乱、内乱、テロ、火災、爆発、洪水、盗難、害意による損害、ストライキ、立入制限、天候、第三者による差止行為、国防、公衆衛生に関わる緊急事態、国または地方公共団体の行為または規制など、当法人のコントロールの及ばないあらゆる原因」と規定しており、一時は「払い戻し不可」との報道も出たが、購入者の権利を最大限に配慮する形になった。

ツアーは旅行会社との協議?

五輪チケットは最終的に900万枚超の規模となる見通し。チケット収入は900億円規模になる計画だ。ただし今後、不透明な課題の一つは航空券やホテルとセットになっている観戦ツアーチケットの扱いだろう。

当初予定の観戦日程が変更されることでそのままスライドさせることが可能なのか、旅行会社との協議になるとみられる。

また入場無料となる幼児についても疑問が浮上している。組織委の公式サイトによると、質問コーナーで「何歳からチケットが必要になりますか?」という問いに対し、次のような回答がある。

「年齢に限らず、競技観戦にはチケット購入が必要となります。但し、競技開催日時点で2歳未満の幼児は、チケット保有者1名につき、1名までは無料(席なし/チケット不要)になります。

2歳未満の幼児が2名以上の場合は超過した幼児分のお席(チケット購入)が必要となります。立見の会場も同様となります。※すでにチケットをお求めの方の対応につきましては検討中です」

つまり2歳未満の幼児は1人まで無料なのだが、来年の五輪開催時に2歳以上になる場合はどうするのか。

組織委はこうした詳細なケースでも購入者に十分配慮し、混乱が起きない柔軟な対応が求められそうだ。

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