WSBK(スーパーバイク世界選手権)とは?
スーパーバイク世界選手権(WSBK)は世界最高峰のバイクレースのひとつで、世界各国を転戦しながらチャンピオンの座を争うものだ。
バイクレースの世界選手権というとMotoGPが有名だが、MotoGPとスーパーバイクの大きな違いはマシンにある。レース専用マシンで行われるMotoGPとは違い、スーパーバイクは市販車バイクをベースに作られたマシンでレースが行われる。つまり、私たちが買うことができるバイクで世界選手権が行われているのだ。
2気筒で1200ccまで、4気筒で1000ccまでとレギュレーションで定められているように、大排気量バイクで繰り広げられるスーパーバイク。2月末に開幕する2020年シーズンの見どころとプレシーズンテストの模様をお届けする。
2020年シーズンのスケジュールと各チームの参戦体制
今年はライダーの移籍が多く、昨年とはまた違う新たな展開が期待される。近年スーパーバイクを席巻しているチャンピオンチームのカワサキ・レーシング・ワールドSBKには目下5連覇中のジョナサン・レイが継続参戦、レオン・ハスラムの後任としてパタ・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSBKからアレックス・ロウズが加入した。
今年からワークス体制になりチャンピオン獲得を目論むホンダのチームHRCは、昨年Aruba.it レーシング-ドゥカティでランキング2位を獲得したアルバロ・バウティスタと、カワサキから参戦したレオン・ハスラムを起用。マシンは新しいホンダCBR1000RR-RW FIREBLADE SPを使用する。
昨年伝統の2気筒から4気筒に変更し、開幕戦から11連勝を達成し衝撃を与えたドゥカティ。ワークスチームであるAruba.it レーシング-ドゥカティには、チャズ・デイビスが継続参戦し、バウティスタがホンダに移籍した残りのシートにスコット・レディングが加わった。レディングはMotoGPで活躍し、昨年ハイレベルな戦いが繰り広げられたブリティッシュスーパーバイク選手権でチャンピオンに輝いており、絶対王者のレイの対抗馬になる事が予想される。
パタ・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSBKチームには、マイケル・ファン・デル・マークに加え、トプラク・ラズガットリオグルが入った。ラズガットリオグルは、昨年ワークス体制でないもののカワサキのバイクを駆り存在感を見せつけ、今回、念願のワークス入りを果たした。
昨年ワークス体制として復帰したBMWモトラッド・ワールドSBKチームでは、移籍初年度ながら奮闘したトム・サイクスが継続、ユージン・ラバティが新加入となった。
サテライトチームでも入れ替わりが多い中、MIEレーシング・アルティア・ホンダ・チームから高橋巧選手がWSBKに初のフル参戦をする。昨年の全日本では速さと強さを見せつけた高橋選手だが、後半戦直前の怪我の影響もあり、王者にあと一歩届かなかった。
今年は世界最高峰の舞台に挑戦となる。新型バイク、そして未経験のサーキットでの戦いということもありいきなり結果を出すことは難しいかもしれないが、全日本でチャンピオンになった経験をもち、昨シーズンもランキング2位と実力は折り紙つき。バイクへの理解、そして高い適応力が求められるデビューイヤーに高橋選手がどのようなレースを見せてくれるのか楽しみだ。
開幕前に向けて各チームがテスト実施
ヘレス・サーキットとポルティマオで行われた開幕前のテストを見てみると、チャンピオンのレイに、ヤマハに移籍したラズガットリオグル、ドゥカティから参戦するレディングが上位にきている。移籍した有望株とスーパーバイク初参戦の実力者が王者に挑戦していくシーズンになるのではないだろうか。
ポルティマオで各チームが順調にテストをこなす中、チャンピオンチームであるカワサキ・レーシング・ワールドSBKはスペインのカタロニア・サーキットでプライベートテストを実施。カタロニア・サーキットは今年からレース日程に加わっており、レイもロウズも走行経験がない。コースのレイアウトの把握はもちろん、未経験のサーキットでのデータ収集もしっかりこなし、今年も万全の状態でシーズンに臨む。
今年は移籍も多く予想が困難だが、例年以上に実力者が集い、見どころが多いシーズンになりそうだ。各メーカーのライダーの組み合わせを見てもしっかり揃えてきた印象だ。2月28日〜3月1日に行われる開幕戦が待ちきれない。