「勝って当たり前」のプレッシャーの中、達成したル・マン制覇
WECとは、一番速いプロトタイプカーを使用し総合優勝を争うLMP1クラス、LMP1同様プロトタイプカーを使用するもプライベーターチームで行われるLMP2クラス、市販車をベースにしたGTマシンを使用し、プロドライバーによってレースが行われるGTE-Proクラス、GTE-Proと同じGTマシンを使用するも主にアマチュアドライバーで行われるGTE-Amクラスの4つのカテゴリーに分けられ、混走する耐久レースだ。
スピード差がある4つのカテゴリーのマシンが同時に走るWECでは、各クラスでの順位争いに加え、他クラスの処理などイレギュラーな出来事が起こりやすい。トヨタは昨年、そんな厳しい耐久レースで全8戦中7勝を飾り2度のル・マン制覇、ドライバーズ、コンストラクターズチャンピオンを総なめにした。
初めて参戦した昨年のWEC(世界耐久選手権)。2018年春から2019年ル・マンまでという年またぎの変則的なスケジュール(スーパーシーズン)のLMP1クラスには、トヨタ同様メーカー直属のワークスチームの参戦がなかった。トヨタ1強というわけだ。
これまで幾度もル・マンに挑戦しながらも、あと一歩のところで勝てずにいたトヨタ。ル・マン必勝を目標にシリーズに臨んだ昨年は、ライバル不在という圧倒的有利な状況だからこそ「勝たなければいけない」という大きなプレッシャーが襲った。
ル・マン24時間レースは最も過酷なレースの一つで、他車との接触などトラブル、ミスによるアクシデントなど多くの不確定要素がある。だがトヨタはプレッシャーに負けず、今までどうしても勝てなかったル・マンもシリーズも制したのだ。
昨年はトヨタに2度のF1チャンピオンをもたらしたフェルナンド・アロンソが参戦。初めてのカテゴリーに最初は苦戦が予想されたが、まるでWECで何年も走っているベテランのような走りをみせてくれた。
そして最も印象的な走りをみせ、チャンピオンとル・マン制覇にトヨタを導いたのは、日本人ドライバーである小林可夢偉と中嶋一貴だ。F1経験者の2人はトヨタのダブルエースとして活躍し、見事ル・マン制覇、そしてチャンピオンを獲得した。














