あと一歩届かない世界チャンピオンの座
2017年から王者マルク・マルケスとチャンピオン争いを繰り広げたアンドレア・ドヴィツィオーゾは、2019年シーズンも総合2位でシーズンを終えた。3年連続で2位だったドヴィツィオーゾだが、実はレース内容に関しては、今シーズンが最も高い水準で優勝争いができていた。
しかし、ライバルのマルケスには151ポイントも差をつけられた。ドヴィツィオーゾはシーズン2勝を含め9回の表彰台を獲得し、ノーポイントはわずか2回のみ。269ポイント獲得は、チャンピオン争いを繰り広げるには十分な数字だ。
ただ、それを上回ったのがマルケスで、第3戦アメリカズGPの転倒リタイア以外、全てのレースで優勝か2位という驚異的な走りを見せた。つまり、ドゥカティとドヴィツィオーゾのパフォーマンスが悪かったというわけではないのだ。
また、昨年はワークスチームにステップアップしてきたダニーロ・ペトルッチが、ドヴィツィオーゾのチームメイトになった。これまではホルヘ・ロレンソとのコンビだったが、関係はよくなかったようだ。だが、ペトルッチとはお互い協力し合い、開発を順調に進めることができた。
そのペトルッチは、第6戦イタリアGPでドヴィツィオーゾ、マルケスとの息詰まる接戦を制し、母国イタリアで自身初優勝をマーク。ただ、その後は安定感を欠き、上位でフィニッシュすることができなかった。
これまで他を圧倒するストレートスピードを武器に戦ってきたドゥカティ。しかし、昨年はライバルのホンダがストレートスピードを上げてきたことや、レギュレーションの縛りにより空力パーツが使えず、そのポテンシャルを存分に発揮できなかった。
また、もともと不得意であるコーナーリング性能でさらに遅れをとってしまったことが、ドゥカティが苦しんだ大きな要因だろう。ドヴィツィオーゾはこれまで再三チームに旋回性能向上を訴えてきたが、改善されなかった。ストレートスピードという大きな武器を維持したまま、旋回性を高めていくことがチャンピオン獲得への必須条件となる。
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