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【MotoGP】3年連続総合2位のドゥカティ 悲願の優勝へ旋回性能向上がカギ

2020 4/10 17:00河村大志
ドゥカティのドヴィツィオーゾⒸFrancesc Juan/Shutterstock.com

ⒸFrancesc Juan/Shutterstock.com

あと一歩届かない世界チャンピオンの座

2017年から王者マルク・マルケスとチャンピオン争いを繰り広げたアンドレア・ドヴィツィオーゾは、2019年シーズンも総合2位でシーズンを終えた。3年連続で2位だったドヴィツィオーゾだが、実はレース内容に関しては、今シーズンが最も高い水準で優勝争いができていた。

しかし、ライバルのマルケスには151ポイントも差をつけられた。ドヴィツィオーゾはシーズン2勝を含め9回の表彰台を獲得し、ノーポイントはわずか2回のみ。269ポイント獲得は、チャンピオン争いを繰り広げるには十分な数字だ。

ただ、それを上回ったのがマルケスで、第3戦アメリカズGPの転倒リタイア以外、全てのレースで優勝か2位という驚異的な走りを見せた。つまり、ドゥカティとドヴィツィオーゾのパフォーマンスが悪かったというわけではないのだ。

また、昨年はワークスチームにステップアップしてきたダニーロ・ペトルッチが、ドヴィツィオーゾのチームメイトになった。これまではホルヘ・ロレンソとのコンビだったが、関係はよくなかったようだ。だが、ペトルッチとはお互い協力し合い、開発を順調に進めることができた。

そのペトルッチは、第6戦イタリアGPでドヴィツィオーゾ、マルケスとの息詰まる接戦を制し、母国イタリアで自身初優勝をマーク。ただ、その後は安定感を欠き、上位でフィニッシュすることができなかった。

これまで他を圧倒するストレートスピードを武器に戦ってきたドゥカティ。しかし、昨年はライバルのホンダがストレートスピードを上げてきたことや、レギュレーションの縛りにより空力パーツが使えず、そのポテンシャルを存分に発揮できなかった。

また、もともと不得意であるコーナーリング性能でさらに遅れをとってしまったことが、ドゥカティが苦しんだ大きな要因だろう。ドヴィツィオーゾはこれまで再三チームに旋回性能向上を訴えてきたが、改善されなかった。ストレートスピードという大きな武器を維持したまま、旋回性を高めていくことがチャンピオン獲得への必須条件となる。

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試行錯誤は続くもドヴィツィオーゾからは前向きなコメント

今年のドゥカティは、アルミニウム製フレームの開発において新たな試みに着手しているという。課題であるコーナーで速くマシンを旋回させ、持ち前の馬力でストレートスピードを生かすためだ。

ドヴィツィオーゾは、2020年のフレームに関してポジティブな発言をしている。彼によると、コーナー中盤に関しては前年のものより良くなっているようだ。立ち上がりに関してもうまく曲がることができれば、より良い感覚が得られるという。立ち上がりの改善にはミシュランタイヤに合わせることも必要で、どのバンク角でもスムーズにパワーを与えるための作業が進められている。

シーズン前のテストではタイムで上位にはきていないドゥカティだが、開幕直前のカタールテストではドヴィツィオーゾがロングラップを実行。着実にセットアップを煮詰めていた。レースシミュレーションで手応えを得たことは、順位以上にポジティブな結果だったと言えるだろう。

今年はコロナウイルスの影響で開幕戦が中止、シーズン開幕も未だ先行きが不透明な状況だ。毎年ロングストレートが特徴の開幕の地、ロサイル・インターナショナル・サーキットで優勝してきたドゥカティにとって、勝てる可能性が高いレースがなくなってしまったのは大きな痛手である。

シーズンが開幕すれば、不得意なコーナリングが多く求められるサーキットでの戦いが続く。長年の課題であった旋回性能を向上させなければ、今年も厳しい戦いになるだろう。

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