くっきり浮かび上がる好走パターン
高松宮記念当日に施行されるダート重賞マーチSは一筋縄ではいかない難解重賞だ。まずは過去10年の勝ち馬の傾向を探ってみる。
馬場状態に大きく左右されるダート戦ではあるが、対照的にペースによる差は少なく、勝ち時計は良馬場であれば1分52秒台、やや重以上では51秒台以下とはっきりしている。前半1000m通過ラップは概ね61秒台で推移しており、ダート重賞らしく芝の重賞のようなペース差はない。
そのため過去10年の傾向から好走パターンは見えやすいレースではある。馬場状態次第で決着時計の想像はしやすいので、そのタイムで走れるか否かというジャッジは容易いのではないか。
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買ってはいけない!? 1番人気
問題はその勝ち馬の人気である。過去10年の勝ち馬は4,7,6,2,3,6,8,10,2,8番人気。1番人気0勝、2、3番人気で3勝と人気がアテにならない。
過去10年で1番人気【0-1-1-8】。0勝も衝撃的だが、2,3着が1頭ずつのみ。このレースに限っては1番人気は買ってはいけない馬といってもいい。2番人気は【2-2-1-5】で好走凡走の確率は半々。3番人気【1-0-2-7】と心もとない。
6番人気は【2-2-1-5】と2番人気と互角の成績であり、中穴程度の馬から入るのが筋かもしれない。さすがに10番人気以下の馬券絡みは少ないものの、16番人気は【0-1-0-8】と2着が1回ある。とにかく手広くがこのレースのセオリーであろう。
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カギはふたつのオープン特別
手広くとはいうが、全頭BOXを買うわけにもいかず(もしやするとそれでも結果的には損はないかもしれないが……)やはりどこかで傾向から絞っていかなければいけない。
そこでまずはハンデ戦の予想らしく斤量別成績である。
先週の中山牝馬Sのような格下で50キロといった軽量馬はマーチSでは厳しい。53キロ以下は合わせて【0-0-0-12】と好走例はない。もっとも高確率なのは57.5~59キロ【4-2-2-20】であり、ダート重賞では重い斤量だからと評価は下げない方がいいというセオリーに合致する。
ダートでは芝とは異なり、斤量差がレース結果に左右しにくく、であるならば素直に実績上位の重ハンデ馬が好走しやすい。見込まれたハンデ、重ハンデはときに人気を落とすこともあるので、人気別成績ともつながってくる。ハンデ嫌われて人気が落ちた重ハンデ馬はむしろ狙いである。
つぎに前走クラス別成績をみると、前走GⅠ組【2-0-1-10】は確率的に低くはなく、GⅠから転戦するような馬はまずまず評価するが、GⅢ組【1-1-1-13】はどうだろうか。GⅢからGⅢへいわゆる横すべりで出走してくるような馬は微妙と言わざるを得ない。
格下の3勝クラス組【1-1-2-18】で昇級即通用という組も多くはないが、注目は前走オープン特別組【4-6-4-57】、頭数が多く確率的には高くはないが、10年で4勝2着6回3着4回は掘り下げるべきではないだろうか。
オープン特別では総武S【2-4-0-15】と仁川S【2-1-3-12】が好走馬の大半を占めるが、ここでは仁川S組をみてみよう。
仁川S凡走馬の巻き返しはなく、狙いは3着【2-0-1-0】4着【0-1-0-1】あたりを含め、仁川S惜敗、掲示板組ぐらいから巻き返してくる組ではなかろうか。想定では同2着クリンチャー、4着コマビショウ、5着テーオーフォースが出走予定。このあたりに軸馬がいるのではなかろうか。
《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。