超ハイペースを徹底分析
チューリップ賞が桜花賞有力馬たちによる文字通りの試走であったのとは対照的に今年もフィリーズレビューはただ一歩前へ進む、桜花賞への望みをつなぐ戦いとなった。
最終的に1番人気に支持されたカリオストロが前走の万両賞と同様に先手を奪ったが、ハナに立つまでにナイントゥファイブらの抵抗があり、てこずった印象があった。その後も後続のプレッシャーによってペースは落ちず、前半600mは33秒4、これは昨年までの10年でもっとも速いラップ。自身の万両賞での記録は34秒1であり、明らかなオーバーペース。直線でカリオストロを交わしたナイントゥファイブが先頭に立った刹那、その直後のインに潜んでいたヤマカツマーメイドが捕らえに出るも、坂を上がってからやや苦しくなったところに中団馬群のインにいたエーポスが鋭く伸びて差し切った。
とにかく権利をという馬と人の執念渦巻く直線の攻防は見ごたえ十分だったが、後半600mは36秒0、二転三転は当然ともいえる前傾ラップであった。それでも追い込み勢が上位を占めず、内枠の中団待機馬と先行2頭で決まった点をどう評価するべきだろうか。
カリオストロが4着に抵抗していることからもハイペースながら先行馬に有利な馬場状態であったことは確かであり、その場合はやはり差してきたエーポスの評価は下げられない。ただラップ的には先行策から一旦先頭に立ったヤマカツマーメイドも侮れまい。1400mのファンタジーSでレシステンシアと0秒5差、マイルの阪神JFでは同馬に1秒2差。ベストは1400mではないかという見方もあるだろうが、GⅠでは一歩引いた競馬だったので、この2着で自信をつけて本番先行するようであれば怖い存在だ。
というのも超ハイペースながら勝ち時計は1分21秒0。昨年までの10年間と比較しても17年と同タイムであり、決して凡戦ではない。前半600m33秒4で突っ込んでいる以上、後半600m36秒0は案外悪くはなく、終いはしっかりまとまっているのではなかろうか。
今年と同タイムだった17年フィリーズレビューで先行策から2着に粘ったレーヌミノルは桜の女王に輝いている。その年の桜花賞は単勝1.4倍ソウルスターリングが3着、先行したレーヌミノルが同馬を振り切って勝った。単純比較は難しいが、ヤマカツマーメイドはこれまで重賞戦線でもまれた経験もあり、改めて先行策をとれば、このレースの経験からレシステンシアの厳しいペースに対応できるのではないか。あながち甘く見てはいけない存在だ。