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【京都大賞典】「史上最速の末脚」から2年越しの初タイトルへ 東大HCの狙いは決め手のある馬たち

2019年京都大賞典で本命に推されたウラヌスチャームⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

逃げ馬の馬券圏内は一度もなし

10月6日(日)に京都競馬場で行われるのは京都大賞典(GⅡ・芝2400m)。秋の天皇賞やジャパンCへとつながる一戦だ。春の天皇賞2着馬・グローリーヴェイズや“最強の1勝馬”エタリオウなどが出走予定だが、配当妙味を踏まえて狙うべき馬はどれになるのか、検討していこう。 まずはレース展開や馬場傾向、コースの特徴といった点を分析していく。

京都大賞典の過去10年の前後半5Fと1~3着馬の脚質ⒸSPAIA

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開幕週の京都で行われる重賞でありながら、過去10年で逃げ馬が馬券に絡んだことはないのは意外。11年は8頭立てという少頭数だったので参考外とすると、前残りらしい前残りと言えるのは14年と、キタサンブラックが勝った16年の2回だけ。17年スマートレイアーの直線一気に象徴されるように差し有利のレースと断じていい。

今年の想定逃げ馬はパリンジェネシス。2走前にサンシャインSを逃げ切った時は前半1000mを推定64秒程度という超スローペースに持ち込んだ。一転して平均ペースになった前走の目黒記念で大敗してしまったように、現状の力でGⅡのメンバー相手に逃げるなら道中なるべく緩めたいはずだ。

ただし、京都大賞典に限って言えば、スローならスローで有力馬が早めに動いて行くケースも多く、結局差し決着になりやすい。展開利だけを根拠に逃げ先行馬を買うのは少々心もとないだろう。

5枠が断然有利!

京都芝2400mの枠順別成績を見ると一目瞭然、3~5枠だけ連対率が25%を超える高数値になっている。

過去3年の京都芝2400m枠番別成績ⒸSPAIA

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特に5枠は単複の回収率も100%を大きく超えているため、とりあえず買い目に入れておいて損はない。逆に、6枠の成績が極端に悪いのだが、正直これをコース形態からどう考えても分からなかった。5枠と6枠でそんなに違うはずはないので、6枠は不吉な枠くらいに捉えておきたい。

続いて馬場傾向を考えていく。といっても開幕週なのであくまで予想になるが、普段のパターンからすると時計の出る軽い馬場だろう。また、開幕週は内有利とよく言われるが、春の京都開催は開幕週から外差しがよく届いていた。当然、土曜の馬場状態を見てからにはなるが、中枠の瞬発力に長けた馬を重視していきたい。

距離延長で一発解答

新馬戦で上がり3F、32.0という2歳馬の上がりタイムとしては史上最速タイの数字をマークしていたウラヌスチャームがようやく初の重賞タイトルを手にするか。美浦所属の牝馬が翌週の府中牝馬Sではなく、わざわざ牡馬相手の京都大賞典に遠征してくることからも推察されるように、やはりこの馬は2400mがいい。

過去成績でも2200m以上【2-1-0-1】、2000m以下は【2-3-0-5】。もちろん数字の上だけではなく、レースぶりからも前走のような1800mだと追走に少し苦労する面が見られるので距離延長の方が乗りやすいだろう。

4着に敗れた愛知杯とクイーンSはどちらもスローペースに泣いたもので、4着なら悪くない。脚質上、どうしても展開頼みになるが、ここまで述べてきたような“京都大賞典らしい”差し有利の競馬になってくれれば上位に食い込んでくるだけの決め手は持っている。

対抗には実績的に最上位のグローリーヴェイズ。去年の夏に本格化して以降は、圧倒的に不利な18番枠から5着の菊花賞以外は全て連対。京都実績、距離実績も十分で死角らしい死角が見当たらないので順当に評価する。

3番手評価はメートルダール。近2走は57キロを背負うハンデ重賞で文字通り荷が重かった。それでも前走の函館記念では前残りの展開で、どうしようもない位置から上がり最速をマークしたように、まだ枯れたと決めつけるのは早計だ。条件と展開さえかみ合えばシャケトラ・フィエールマンと0.1差だったAJCCのように好走があってもよい。

エタリオウは元々気性の難しい馬という印象だったが、ここに来てますますズブくなっている。こういう癖馬に横山典騎手というのは本当に怖い存在なので一応押さえるが、もし人気馬でどれかを切るならこの馬か。

以下、エアウィンザー、ノーブルマーズ、シルヴァンシャーまでが△評価。

京都記念を勝ったダンビュライトだが、同じ京都外回りでも京都記念は施行時期的なものもあってタフな馬場でスタミナ寄りの馬が好走するのに対し、今回は高速馬場で瞬発力が問われるレースになると想定している。適性がはっきりしている馬なので、いずれ必ずお世話になる機会は来るだろうが、今回は無印にした。

▽京都大賞典予想▽
◎ウラヌスチャーム
○グローリーヴェイズ
▲メートルダール
△エアウィンザー
△ノーブルマーズ
△シルヴァンシャー
△エタリオウ

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《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。