1週前より上がりはかかる
先週のローズSではダノンファンタジーが中団を追走し、上がり33.1を使って勝利した。しかしそれまで馬券に絡んだレースでは、切れる足を使うというよりは先行しながら34秒前後の末脚でまとめるというタイプだっただけに、ひと夏を越してここまで変わるのかと驚きのレースぶりだった。
今週、阪神競馬場では菊花賞トライアルの神戸新聞杯(GⅡ・芝2400m)が行われる。春のクラシック戦線の主役だったサートゥルナーリア、そしてそのライバルであるヴェロックスが始動戦を迎える。2頭の能力は世代トップで、当然勝ち負けになると考えるが、馬券的には3番手以下の評価が難しいので、そこは馬場傾向と上がりタイムからしっかりと分析していきたいところだ。
まずは先週のレース傾向を見ていこう。3日間競馬だったので、いつもよりレース数が多く、阪神競馬場の芝コースでは17レースが行われた。そのうちで神戸新聞杯と同じ外回りコースで行われたのは8レースだった。
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2つのレコードタイムが記録されるなど、かなりの高速馬場だった開幕週と比べると、やや物足りないタイムのレースもあったが、引き続き速いタイムもマークされ、日曜日に行われたローズSでは1:44.4とレコードタイムで決着した。
上がりタイムも、月曜日の1800m戦(1勝クラス)を勝ったトーセンカンビーナが32.9を使うなど、33秒台の上がりを使って勝利した馬が7頭もいた。ただ平均すると全体で34.2、外回りコースで34.0と1週前の全体平均33.7、外回り平均33.2と比較すると少し時計がかかっていた。
脚質別では8レースが先行決着、7レースが差し決着、2レースが追込決着と脚質的な有利不利はない馬場状態だったと言えるだろう。
最も速い上がりを使う馬は2着まで?
続いて過去10年の神戸新聞杯の上がりタイムを見てほしい。
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2011年に勝利したオルフェーヴルは32.8という破格の上がりを使って勝利したものの、それ以外では34秒以上の上がりで勝利した馬が7頭いた。1着の平均は34.0と外回りコースながら2400m戦らしくスタミナも要求されるレースとなっていると考える。
ただ、2着馬に限ってみると、平均では34.0と1着馬の平均と同じながら、1着馬より速い上がりを使ったケースが6回もあり、馬単や3連単を購入する場合は、最も平均に近くて速い上がりが使える馬を2着候補とするのが、面白いかもしれない。
3着の平均は34.5と1、2着馬の平均からは0.5秒も遅いというデータが出ている。34秒台後半より遅い上がりで3着となった馬が過去10年で6頭もおり、この点にも注意して予想を組み立てたいところ。
上位2頭は能力的に抜けている
こうしたデータを踏まえて、神戸新聞杯で推奨する馬は以下の6頭とした。
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過去10年の勝ち馬の平均上がり34.0に最も近かったのはヴェロックスの34.4だった。前走の日本ダービーは中団からの競馬となり、向かない展開の中でサートゥルナーリアに先着したことは価値がある。得意の2400mで再びライバルに先着したいところだ。
ついで2番目に速かったのは平均上がり34.7の皐月賞馬サートゥルナーリア。日本ダービーでは距離が不安視されていたが、スタートでの出遅れが響いて4着。それに、ダービーの日は差しが届かない馬場状態だったということを考えると、距離が原因ではないと考える。菊花賞の3000mが向くタイプではないので、勝っても菊花賞に向かうとは限らないが、今回勝ち負けになるのは間違いないだろう。
シフルマンは現在2連勝中で勢いに乗っての参戦となるが、春は若葉Sでヴェロックスに0.6秒差をつけられており、上記2頭とは少し差がありそう。だが、2走前の早苗賞では新潟の1800mで34.2という上がりしか使えてないことを考えると、スタミナ勝負に持ち込むのが理想の展開かもしれない。
ワールドプレミアは春のクラシックには参戦しなかったものの、素質は秘めている。エンジンのかかりが遅く、ズブいタイプなだけに外回りの2400mはプラスに働くはずだ。ただ、雨が降った場合は、ストライドが大きい馬なので割り引く必要がありそうだ。
レッドジェニアルは、京都新聞杯ではダービー馬ロジャーバローズを負かしての勝利。その時に使った上がりは34.7で、スタミナ勝負に強いタイプなので馬場的に合っていそう。
▽神戸新聞杯予想▽
◎ヴェロックス
○サートゥルナーリア
△シフルマン
△ワールドプレミア
△レッドジェニアル
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